【11月7日 AFP】温室効果ガスを地層中に圧入して地中に貯留する温暖化対策技術が、米テキサス(Texas)州で相次いだ地震の原因だった可能性があると指摘する研究報告が4日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 PNASには昨年も温暖化ガスの地中貯留が地震を誘発する可能性を指摘する論文が掲載されたが、地中貯留とマグニチュード(M)3.0~4.4の地震を直接関連付けた論文は今回が初めて。

 今回の研究はテキサス州北西部のスカリー(Scurry)郡とケント(Kent)郡にあるコグデル油田(Cogdell Oil Field)とケリースナイダー油田(Kelly-Snyder Oil Field)の地震活動に焦点を当てた。

 コグデル油田では1957~82年にかけて、産出量を増やすために水攻法という技術が用いられた。これが原因でこの地域では75~82年に地震が発生したことは、過去の研究で既に明らかにされていた。

■地中にメタンとCO2を圧入、地震が相次ぐ

 今回、テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)地球物理学センターのウェイ・ガン(Wei Gan)氏とクリフ・フローリック(Cliff Frohlich)氏の研究によれば、二酸化炭素の回収・貯蔵 (CCS)の影響を調べるため米エネルギー省の資金で行われた最近の研究で、この油田の地中に大量のメタンと二酸化炭素(CO2)が圧入された。 CCSは温室効果ガスの削減策として提案されている技術で、CO2を回収し、地中深くに圧入して長期間貯留する方法だ。

 論文は今回の調査の最も深刻な結果として、コグデル油田とその周辺で06年以降、CCSによってマグニチュード3以上の地震が相次いで引き起こされた可能性を指摘した。

 06~12年までにコグデル油田とその周辺ではM3以上の地震が18回あり、2011年9月11日にはM4.4が記録された。特に09年3月~10年12月には93回も地震が起き、うち3回がM3以上だった。

 論文は水攻法の開始から24年間は地震が観測されていなかったことから、これらの地震は水の圧入では説明できないとしている。またケリースナイダー油田など、近くにある同様の油田で地震が起きていない点は謎だとして、コグデル油田周辺のみに圧力に弱い断層があるのではないかと推測している。

 今回の研究は、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)と中国国家自然科学基金委員会(National Natural Science Foundation of ChinaNSFC)が資金を出して行われた。(c)AFP