【11月5日 AFP】テロ組織との関係が疑われ、英国内で監視下に置かれていたソマリア出身の男が、訪れたモスク内部でイスラム女性の衣装「ブルカ」に着替えて逃走していたことが分かり、英国政府は釈明に追われている。

 モハメド・アフメド・モハメド(Mohammed Ahmed Mohamed)容疑者(27)は1日、ロンドン(London)市内のモスクを訪れた後、行方不明になった。一般的な衣服を着てモスクを訪れたモハメド容疑者だったが、監視カメラの映像には顔を含む全身をブルカで覆い、女装してモスクを後にする姿が捉えられていた。

 モハメド容疑者は、ソマリアのスラム過激派組織アルシャバーブ(Shebab)の下で訓練を積み、外国での戦闘行為に加わっていたと考えられている。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関係のあるアルシャバーブは9月、ケニアの首都ナイロビ(Nairobi)にあるショッピングモールを襲撃し、少なくとも67人を殺害した。

 モハメド容疑者は、テロ関連行為を目的とした人材をソマリアから英国を潜り込ませる手助けをし、英国内での武器調達にも関わったとされる。

 モハメド容疑者が行方不明となったことを受け、デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相が党首を務める保守党(Conservative party)のジェラルド・ハワース(Gerald Howarth)議員は、フランスなどの一部欧州諸国にならって、英国でも顔を覆うブルカやニカブを禁じるべきと述べた。

 ハワース議員は、テリーザ・メイ(Theresa May)内相に対し「われわれの文化にとって異質なものであり、この男を逃がすことになったブルカは、英国内での着用を禁止すべきだ」と訴えた。

 これに対しメイ内相は、女性が好きな服を着用できるべきだとの考えを示した。(c)AFP