【11月3日 AFP】米ロサンゼルス国際空港(Los Angeles International Airport)で1日、ポール・アンソニー・シアンシア(Paul Anthony Ciancia)容疑者(23)が銃を乱射し、米運輸保安局(Transportation Security AdministrationTSA)の職員1人が死亡した事件で、米当局は2日、犯行の動機はいまだ解明されていないと述べた。

 シアンシア容疑者は1日、同空港の保安検査場を通る際に発砲。パニックになった旅行者らが逃げ出し、混雑した空港内は大混乱に陥った。その後、同容疑者はさらなる犠牲者を求めて冷静に歩き続けていたが、警察官に発砲されて負傷した。この事件で1人が死亡、7人が負傷した。また、推定で1550便に影響が出て約16万7000人の旅行者が足止めされた。2001年9月11日の米同時多発テロ事件を受けて発足したTSAの職員が勤務中に殺害されたのは初めて。

 米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)はAFPの取材に対し、「シアンシア容疑者は政府とTSAに対して明らかに嫌悪を抱いていたようだが、犯行の動機はまだ分かっていない」と述べた。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)がある警官の話として報じたところによると、警察が入手したシアンシア容疑者のものとみられるメモには、「政府に失望した」、「罪のない人」に危害を加えるつもりはないと書かれていたという。

 また、同紙が報じた目撃者の話によると、シアンシア容疑者は10分足らずの犯行の間に、空港内に立ちすくむ大勢の人々に銃を向けながら「TSAの職員」かどうか尋ね、「違う」と言われるとそのまま立ち去ったが、何度もTSAをののしる言葉を口にしていたという。FBIは空港に持ち込まれたバッグから「複数のTSA職員を殺す決断をした」という手書きのメモが見つかったことを明らかにした。

 米当局はシアンシア容疑者の容体に関する詳細を発表していないが、ロサンゼルス・タイムズによると同容疑者は頭と脚に銃弾を受けており重体だという。

 FBIによると、シアンシア容疑者は米東部ニュージャージー(New Jersey)州出身でロサンゼルス(Los Angeles)在住。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、同容疑者から「自分を傷つけるかもしれない」との電子メールを受け取った同容疑者の弟が父親に連絡。父親の通報を受けたニュージャージー州の警察がロサンゼルス市警(LAPD)に連絡した。これを受けてLAPDの警察官が1日にシアンシア容疑者の自宅を訪ねたが不在だったという。(c)AFP/Michael THURSTON