【11月2日 AFP】ドイツで1日、欧州で初めて、男性と女性の両性の特徴を有する新生児について、性別の記載なしで出生届を出せるようになった。

 新しい法律で出生証明書の性別欄を空白のままにできるようになったことで、事実上、公的記録に「男性か女性かはっきりと決められない性」という区分が新たにできたことになる。

 いわゆるインターセックスの人たちの権利のために活動している人たちは、第3の性の選択肢が生まれたことで、男女両性の特徴を有する新生児に対する性器手術を制限する、より大きな変化への扉が開かれるよう希望していると述べた。

 ドイツ北部ハンブルク(Hamburg)出身で自身もインターセックスのルツィー・ファイト(Lucie Veith)さんは、出生証明書で性別を決めないでおくことは、ドイツの「インターセックス者協会(Association of Intersexed People)」や、その他のインターセックスの人たちにとってロビー活動の主な目的ではなかったと語った。

 同協会は、男性として生きるか、女性として生きるか、あるいはそれ以外の生き方をするかを本人が選択できるように、医学的に不必要な手術は16歳になるまで行わないようにすることを求めている。同協会代表のファイトさんは、「新生児に対する性器整形手術を禁止すること、それが私たちの第1の要求です」と語った。

 専門家によると、推定1500~2000人に1人の割合で両性の特徴を有し性別をはっきりと決められない新生児が生まれている。身体的な性別を与えるために陰核縮小、停留睾丸摘出や膣形成術などの手術を行うことができる。このような手術の結果に不満を持っていない人がいる一方で、同意なしに手術されたことに怒っている人もおり、ドイツでは裁判で損害賠償の支払いが命じられた例もある。

 2012年の欧州委員会(European Commission)報告では、欧州の多くの国でインターセックスの乳幼児に対し、適切なインフォームド・コンセントなしで手術が施されている実態が報告されている。欧州評議会(Council of Europe)は10月、初めてこの問題を取り上げ、「健康に必須ではなく、むしろ外見を理由とした不必要な医療的・外科的処置を幼年期・小児期に受けさせないようにする」よう加盟国に呼びかける決議を採択した。(c)AFP/Carolyn BEELER