【11月1日 AFP】米金融大手モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は世界はワイン不足に陥ると警告しているが、ワイン愛好家はパニックになる必要はない。業界専門家からは、むしろ今年のワイン生産量は増加しているとの指摘が出ているからだ。

 モルガン・スタンレーは10月末に発表した報告書のなかで、世界のワイン生産量が減少する一方で、中国や米国ではワイン需要が高まっていることからワイン価格は高騰すると予測。昨年は需要が供給を大幅に上回り、中期的な輸入ワイン需要も上昇するとみられることから、今後も状況は悪化する見込みだと結論付けた。

 これに対し、フランスワイン・スピリッツ輸出業者連盟(Federation of French Wine and Spirits Exporters)のピエール・ジュネスト(Pierre Genest)氏は10月31日、ワイン不足との予測は行き過ぎだと反論。「2013年の実績を見れば、生産量は消費量よりも多い」と指摘した。ジュネスト氏によれば、今年はここ6年で最もワインの生産が好調で、「ブドウの栽培面積が欧州で減少していても、世界のその他の地域では拡大している」という。

 国際ブドウ・ワイン機構(International Organisation of Vine and WineOIV)が今週発表した報告書もジュネスト氏の主張を裏付けるものだ。報告書の中で同機構は「世界のワイン生産は2013年、著しく増加。消費は安定している」と記している。また、イタリアやスペインなどで継続的なブドウ栽培面積の減少がみられるものの、生産量は2006年の水準にまで回復していると指摘。昨年は悪天候によりブドウの収穫量およびワインの生産量が減少したものの、今年の収穫量はかなり良好だという。(c)AFP