【11月1日 AFP】2012年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、前年比の増加率が1.1%となり、過去10年間の年間増加率平均2.9%を下回ったことが、31日に発表された報告書で明らかになった。

 オランダ環境評価庁(Netherlands Environmental Assessment AgencyNEAA)が発表した報告書によると、世界経済成長率が3.5%であるにもかかわらず、CO2増加量が減速している要因の一部は、中国での水力発電への転換と、米国でのシェールガスへの転換の成果だという。

 一方でCO2排出量は345億トンと、昨年に引き続き過去最高を更新した。

 報告書によると、中国の2012年のCO2排出量は99億トンで、前年比増加率は3.0%増と、過去10年の平均年間増加率(約10%)に比べて低かった。

 米国では、発電部門での石炭からシェールガスへの転換が主な要因となり、CO2排出量が前年比4.0%減の52億トンと、1993年以来の低水準を記録した。

 欧州連合(EU)では、景気低迷の影響でエネルギー消費と道路貨物輸送の減退が原因で、CO2排出量は前年比で1.6%減少した。

 2012年のCO2排出量全体に占める割合は、中国が29%、米国が15%、EUが11%、インドが6%、ロシアが5%、日本が4%となっている。

 CO2の全排出量の9割は化石燃料の燃焼によるもので、発電部門が最大の排出源となっている。

 報告書によると、原子力エネルギーの使用は福島第1原発事故の影響で減少している一方、2012年の水力発電による発電量は前年と比べ4.3%増加しているという。(c)AFP