【11月1日 AFP】シリアの化学兵器全廃に向け国連(UN)と共同で化学兵器関連施設の査察団を派遣している化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は31日、シリアが保有を申告した全化学兵器の封印作業が完了したと発表した。

 OPCWの報道官がオランダ・ハーグ(Hague)でAFPに語ったところによると、封印は「破ることは不可能」で「改ざん対策」が施されている。封印されたのは、化学兵器生産に使われる化学剤1000トンと、完成済み化学兵器290トン。OPCWはまた、シリア国内の化学兵器生産設備は全て破壊されたとも発表している。

 査察団は、OPCWと国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議により定められたスケジュールに従い、11月1日までに全関連施設の査察と、全ての生産・注入設備の破壊を完了することを目指していた。

 8月にシリア首都ダマスカス(Damascus)近郊で化学兵器を使った攻撃が起きたことを受けて米国はシリアへの軍事介入を検討したが、米国とロシアはシリアの化学兵器廃棄で合意して軍事介入は回避された。その後、2014年半ばまでにシリアの化学兵器を全廃すると定めた安保理決議が採択された。

 防衛コンサルティング企業「IHSジェーンズ・コンサルティング(IHS Jane's Consulting)」は兵器封印作業の完了を「重要な節目」として歓迎しつつも、化学兵器は全て依然としてシリア政権の管理下にあり、まだ先には長い道のりが待っていると指摘している。同社のディレクター、デービッド・リース(David Reeths)氏はAFPに「この作業は非常に急いで進められており、今後の見通しは本当に極めて不透明だ。化学兵器が破壊されるか、もしくはシリア国内から取り除かれて初めて任務は完了する」と語った。(c)AFP