【11月1日 AFP】コカイン使用疑惑が持たれているカナダ・トロント(Toronto)のロブ・フォード(Rob Ford)市長が、喫煙タイプのコカイン「クラック」を吸っている様子が写っている動画を入手したと、同市警察署長が発表した。しかしフォード氏は10月31日、改めて辞任を拒否した。

 同市長が最初にコカイン使用を否定したのは数か月前。ビル・ブレア(Bill Blair)署長は記者会見で、「そのビデオには確かに市長が写っている」と明かした上で、「トロントの一市民として失望している」と語った。フォード氏は疑惑について詳細に言及することは避けたが、「辞任する理由がない」と断言した。

 この90秒の動画の存在は、カナダ最大紙トロント・スター(Toronto Star)と米ゴシップサイト「ゴーカー(Gawker)」が5月に報じていた。同紙によると、複数の薬物の売人からこの動画を購入しないかと持ち掛けられたという。これはフォード氏に薬物を提供したとする人物が、携帯電話で撮影したものとされる。トロント・スター紙はこのビデオを見たものの、支払いは拒否したとしている。同じく動画を確認したというゴーカーは、フォード氏に似た人物が、クラック吸引用のガラス製パイプとみられるものから何かを吸引している様子が写っていたと伝えた。

 その後この動画の購入資金として、インターネット上で、20万ドル(約2000万円)の募金が集まったが、ゴーカーは匿名筋から問題の動画は「なくなった」と聞いたと伝えた。

 しかしブレア署長は、6月中旬に押収したハードドライブから、いったんは削除されたその動画とその他のデータを警察の技術者が復元したと述べ、そこには先にメディアが報じた画像と合致するとみられる画像が含まれており、画像処理の形跡もなかったとみられると伝えた。しかしフォード氏に対する事情聴取は行われていないという。同署長はさらに、フォード氏はこの動画に基づいて刑事責任を問われてはいないとしながらも、検察当局がさらに多くの容疑で立件する可能性もあるとしている。(c)AFP/Michel COMTE