【11月1日 AFP】原子すら凍ってしまうという宇宙で最も寒い場所――それは摂氏マイナス272度という超低温の天体であるブーメラン星雲(Boomerang Nebula)だ。南米チリ・アタカマ(Atacama)州にある巨大電波望遠鏡「アルマ(Atacama Large Millimeter/submillimeter ArrayALMA)」がこのほど、新たにこの星雲の姿を捉えた。

 地球から約5000光年離れたケンタウルス座(Centaurus)にあるこの星雲の温度は、絶対零度から、わずか1度高いだけの1ケルビン(摂氏マイナス272度)で、ビッグバン(Big Bang)後の冷却し始めた頃の宇宙に放射された宇宙背景放射の温度よりも低いという。

 ブーメラン星雲は比較的若い惑星状星雲。寿命を迎えつつある太陽類似星の外層からイオン化ガスが放出され、外郭が輝く。急速に拡大を続ける過程でエネルギーを使い果たし、その結果引き起こされる冷却効果によって周囲よりも低い温度を保っている。

 アルマ望遠鏡は、北米、欧州、アジアの諸機関が協力してチリのアタカマ砂漠に設置したもの。天体観測の妨げになる湿気や植生が、ほとんど存在しない海抜5000メートルの高地にある。(c)AFP