【10月31日 AFP】エネルギーを節約したり生成する機能を備え、建物の冷暖房費を削減する効果が望める「スマート窓」を考案したとする中国の研究論文が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)系サイト「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。

 窓があると建物の外が近く感じられるものの、冬には熱が外部へ逃げ、夏には不要な日差しが入る。このことを利用して、屋外の気象条件に適応できる「スマート(高性能)」な窓を作る取り組みが始まった。

 論文の共同執筆者である中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の高彦峰(Yanfeng Gao)氏がAFPに語ったところによると、現在のスマート窓の機能は太陽からの光と熱の調節にとどまっているため、多くの潜在的エネルギーを逃がしてしまう。今回の研究は、エネルギーの生成と節約を同時に行うスマート窓のコンセプトを発展させた点に大きな革新性があるという。

 技術者らは長年、窓ガラスの透明性を損なわずに太陽電池を組み込むために試行錯誤を重ねてきた。高氏らの研究チームは、太陽の赤外線を調節する透明な被膜として二酸化バナジウム(VO2)を使用できることを発見した。

 VO2の特性は温度によって変化する。一定水準を下回る温度では断熱し、赤外線を通過させるが、別の温度では反射特性を持つように変わる。

 窓にVO2を使用すると、建物に入ってくる太陽エネルギー量の調節にとどまらず、研究チームがガラス周辺に組み込んだ太陽電池に光を分散させることも可能になる。こうして太陽光発電が行われ、発電した電気が照明などに使用される仕掛けだ。

 研究論文は「このスマート窓は1つの装置でエネルギーの節約と生成の機能を兼ね備え、太陽放射を効率的な方法で賢く調節利用できる潜在的可能性を示している」と述べている。(c)AFP