米番組で子どもが「中国人皆殺し」発言、ABCテレビが謝罪
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【10月31日 AFP】米テレビ網ABCの深夜のコメディー番組で前週、米国が中国に負っている1兆3000億ドルの借金をどうすればよいかと司会者に質問された少年が冗談で「中国人を皆殺しにしたらいい」と答え、アジア系米国人を中心に抗議が殺到した問題で、同テレビは30日、謝罪した。
問題となったのは子どもがニュースについて討論するコーナーで、司会者のジミー・キンメル(Jimmy Kimmel)氏が、中国に対して米国が抱える借金について質問すると、1人の少年が「中国人を皆殺しにしたらいい」と叫んだ。笑いながらキンメル氏が「それは興味深いアイデアだね」と答え、どう思うか聞かれた他の子どもたちは全員同意しなかった。
ABCは抗議を受け、今後再放送される番組から問題の部分を削除したと発表し、また中国系社会やアジア系社会、さらには華人や社会全般の気分を害するような内容を意図的に放送することは決してないとして声明で謝罪した。
米議会のアジア系議員らはABCテレビの対応に満足感を示しながらも、今回の一件は、メディアにおけるアジア系米国人の扱いという大きな問題を提示したと述べている。
日系米国人であるために、第2次世界大戦中だった幼いころに強制収容された経験を持つマイク・ホンダ(Mike Honda)下院議員(民主党)は、「ヘイトスピーチ(差別・憎悪発言)を野放しにしておくことは危険だという認識をすべての人々、特に子どもたちが持つことが重要だ」と語る。
米政府のウェブサイト上にあるオンライン請願プログラムの署名には、29日時点で6万9000筆の署名が寄せられている。この署名の呼び掛け文は、子どもは軽い気持ちだったのだろうとしながらも「ナチス・ドイツがユダヤの人々に対して用いたのと同じ言葉遣いだ」と非難している。
米国華人全国委員会(National Council of Chinese Americans)はABCに対する抗議書簡の中で話し合いの場と、同様の問題の再発を防ぐ計画を策定するよう求めた。また度々起こるこうした問題は、世界における米国の評価を貶めるものだと懸念を表明している。(c)AFP