【10月31日 AFP】かつて和解し難い冷戦の敵同士だった北大西洋条約機構(NATO)とロシアが30日、今や共通の敵である、公共交通機関やスポーツ会場を狙った爆発物を用いた攻撃に対する戦いで新生面を切り開いたと発表した。

 ロシア側パートナーについてのNATOのビデオ・ニュースによると、約4年の期間と480万ユーロ(約6億5000万円)をかけた「爆発物遠隔探知(Stand-off Detection of ExplosivesSTANDEX)プログラム」で、NATO諸国とロシアは、英ロンドン(London)、スペイン・マドリード(Madrid)、露モスクワ(Moscow)の公共交通機関で起きたようなテロリスト攻撃を防ぐことができるという。

 この新システムはNATOと英国、フランス、イタリア、ロシア、トルコ、米国の各国政府が資金を出し、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアの研究所と企業が開発した。NATOは「世界初の技術」だとしている。

 NATOによると今年6月、欧州のある都市の地下にある駅で実験したところ、「乗客の流れを妨げることなく、リアルタイムかつ遠隔で爆発物を探知することができた」という。

 同システムは一連のセンサーとマイクロ波走査技術を備え、通勤客には気づけない分子構造の異常を検知する。NATOによると、この装置は国際的な安全保障の関連法令を全面的に順守しつつ走査を行うことが可能で、近くロシアがサンクトペテルブルク(St. Petersburg)の地下鉄で対応シナリオのテストを開始する。(c)AFP