脳死回避で移植用の臓器提供が減少、加調査
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【10月30日 AFP】過去10年間で頭部外傷の予防・治療成果が向上したことにより、移植に利用可能な臓器が減少するという支障が生じているとの調査報告が今週、カナダの医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(Canadian Medical Association Journal、CMAJ)」最新号に掲載された。
カナダ・カルガリー大学(University of Calgary)の研究チームは、アルバータ(Alberta)州南部にある病院に入院した脳損傷患者2788人を10年半にわたり調査した。
その結果、「脳死」を宣告された患者数が、2002年から2012年の調査期間で、8.1%から4%に減少していることが分かった。
この劇的な減少は、交通事故関連の死亡や負傷の減少、自転車に乗る際やスキーをするときのヘルメット着用の増加、頭部外傷の治療の向上などを反映していると研究チームは指摘する。
これは良い知らせのように思われるが、臓器移植を必要としている人たちにとっては問題だと研究チームは結論付けている。
研究チームは「今回の調査結果は、脳損傷に関する予防と治療における進展を反映しているものだろう。だが、神経学的な死による臓器提供は、移植手術のための臓器の主要な供給源である。従って今回の調査結果は、カナダの一部の地域で故人の臓器提供の割合が比較的停滞していることを説明する一助となるだろう。さらにそのことは、末期臓器不全患者の看護に重要な意味を持つ」と述べている。(c)AFP