【10月30日 AFP】約2億5000万年前に発生した地球の「大量絶滅」事件で死滅したと考えられていた小型サメの一種族が、実際にはその後さらに1億2000万年間生存していたことを示す極小の歯の化石を発見したとの研究報告が29日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)の自然史博物館(Natural History Museum)と仏モンペリエ大学(University of Montpellier)の合同研究チームが発表した論文によると、体長30センチ程度で、背びれの代わりにかぎ状の突起が付いていたと思われるこの奇妙な生物は、深海に身を潜めることで絶滅事件を生き延びたのかもしれないという。

 ペルム紀(Permian era)末に発生した地上最悪の大量絶滅事件では、海洋生物の約95%、陸上生物の約70%が死滅した。当時の地球には、1つの海に囲まれた大陸が1つ存在していたと考えられている。

 この壊滅的事象を引き起こした原因については、小惑星の衝突で発生した粉じんに地球が覆われ、太陽光が遮られて植物が死滅したからとする説や、火山活動の激化によって酸性雨と地球温暖化の致命的な二重苦状態が発生したからとする説がある。

 現代のサメの遠い親戚に当たるCladodontomorph種のサメも、大量絶滅で姿を消した生物の1つと考えられていた。このサメは、極小の鋭い歯が数列並ぶ顎を持っていた。

 研究チームは、フランス南部の町モンペリエ(Montpellier)近郊にある白亜紀(Cretaceous period)の堆積地層で、この種のサメの歯を6個発見した。この地域は当時、海底だったと思われる。

 2ミリに満たない大きさのこの歯は、3種類の異なるCladodontomorph種のもので、現在は絶滅しているこのサメが、約1億3500万年前までは生存していたことになる。

 論文は「壊滅的事象が起きている間、この種族は深海の避難環境を使用することで大量絶滅を生き延びた可能性が高い」と述べている。(c)AFP