【10月29日 AFP】世界銀行(World Bank)は29日、年次報告書「ビジネス環境の現状(Doing Business)2014」を発表し、シンガポールと香港をビジネスに最良な場所として挙げた。

 東南アジアの交易の中継地で金融拠点のシンガポールと香港は、8年連続で上位を占めた。上位5か国にはその他、ニュージーランド、米国、デンマークが名を連ねた。一方、昨年91位にランキングされたことに憤慨し、11年前に始まった年次報告書の廃止を世銀に要求していた中国は、今年はさらに順位を落として96位に付けた。

 ランキングは、多国籍企業にとってのビジネス環境を評価するのではなく、中小企業が自国で直面する課題に焦点を当てている。データは、各国および地域の法務や規制について助言をする立場にいる人々を中心に、専門家1万人以上に聞き取り調査を行った結果に基づいている。

 各国は、新規事業立ち上げまでにかかる日数や、電力受給までにかかる日数、融資の受けやすさ、コンテナの輸出入にかかる費用など、さまざまな項目で採点された。

 過去5年間で最も順位が上がった国は、ルワンダ(32位)、ロシア(92位)、ウクライナ(112位)、フィリピン(108位)。ロシアとルワンダは昨年から20位上がり、ウクライナは25位、フィリピンは30位上がった。

 中国は、特に新規事業立ち上げの項目で低い点数を受けた。また、貿易項目でも、世界2位の経済大国にかかわらず、順位は74位にとどまった。

■報告書は正確か

 昨年、中国から報告書の廃止を求められた世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁は「『ビジネス環境の現状』が世界各地で改革を推進する重要な触媒になっていることは議論の余地がない」と反論していた。

 だが、正当化することが困難な結果が出ていることを例に挙げ、報告書の方法論に疑問を呈する人々もいる。例えば、企業の直面する電力受給の困難さを評価する項目で、世界で最も貧しい国の1つであるハイチが67位に付けているのに対し、エネルギーが豊かなカナダが145位になっている。また、「投資家の保護」の項目では、後進国のシエラレオネが22位に付けているのに対し、スイスが170位となっている。

 ある世界銀行当局者はAFPの取材に「極めて質の低い報告書だ。相互に全く関連性のない項目をランキングしている。もはや経済学ではない」と語った。

■2014年ランキング

「ビジネス環境の現状」によるビジネスに最適な国・地域は以下の通り。

1位 シンガポール
2位 香港
3位 ニュージーランド
4位 米国
5位 デンマーク
6位 マレーシア
7位 韓国
8位 グルジア
9位 ノルウェー
10位 英国

 ワースト5位は以下の通り。

185位 コンゴ共和国
186位 南スーダン
187位 リビア
188位 中央アフリカ
189位 チャド

(c)AFP/Jeremy TORDJMAN