【10月28日 AFP】欧州の人々は、米国のスパイ活動に感謝するべきだ――。米情報機関がドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相をはじめ同盟諸国の首脳や一般市民の通信を傍受していたとされる問題で、米議員らが27日、殺到する批判にこのように反論した。

 米国の情報活動こそが欧州市民の安全を保っているのであり、むしろ各国とも自国の情報活動の改善に努めるべきだと主張している。

 米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)が世界数十か国の首脳や市民の通信を傍受していたとされる問題をめぐっては、各国政府が相次いで怒りを表明。欧州各国の首脳は先週末、今後の情報収集に関して、同盟関係を重視したうえで対テロ活動を維持する新しい協定を結ぶよう米政府に求めた。

 しかし、米下院情報委員会のマイク・ロジャース(Mike Rogers)委員長(共和党)は米CNNテレビで、欧州各国の反応について「誠意がない」と断言。誤った報道をしているとしてメディアも批判し「本来のニュースは、仮に米情報機関が国内外で国益を守るための情報収集活動をしていなかったらどうなるかということだ」と述べた。

 また、米下院テロ対策・情報小委員会のピーター・キング(Peter King)委員長も米NBCテレビで、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領はNSAの通話傍受プログラムの件で謝罪するのはもうやめるべきだと指摘。「現実に、NSAは数千人もの命を救ってきた。米国内だけでなく、フランスやドイツ、欧州全域においてだ」と主張した。

 ロジャース委員長は、米国の通信傍受のおかげでどれだけ自分たちの安全が守られているのか、もしフランスの市民が正しく理解したら、祝杯を挙げるだろうとコメント。「拍手喝采でシャンパンのボトルを開けるだろう。通信傍受プログラムは良いものだ。フランスも米国も、そして欧州の同盟国全てを守っている」と述べている。(c)AFP/Olivia HAMPTON