【10月28日 AFP】ロシア・サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)にある美術館で27日、米人気アクションスター、シルヴェスター・スタローン(Sylvester Stallone)氏による絵画の展覧会が始まった。同日、美術館の外には入館を希望する人々の列ができた。

 世界有数の規模を誇る国立ロシア美術館(State Russian Museum)のキュレーターらが称賛するスタローン氏の作品だが、一部の評論家は映画『ランボー(Rambo)』で演じられた反ロシア的キャラクターを批判しながら、由緒ある美術館に置くような作品ではないと酷評した。

「シルヴェスター・スタローン、芸術、1975-2013("Sylvester Stallone. Art. 1975-2013)」とストレートなタイトルが付けられたこの展覧会のオープニングに合わせて開かれた記者会見では、終始にこやかな表情を崩さなかったスタローン氏。歴史あるこの町で自分の作品を見せることができるのは大変な名誉と話し、「皆さんが私の絵を気に入ってくれれば嬉しい」「皆さんを愛している」と述べた。

 67歳になるスタローン氏は、『ランボー』や『ロッキー(Rocky)』といったヒット作で知られているが、もし選択することができたのなら、アクション映画に出演するよりも、作品制作に携わる人生を選んでいたと述べた。

 さらに、スタローン氏の作品が同博物館に展示されることに非難のコメントが相次いでいることに質問が及ぶと、「私がここに来ることを問題とする人がいるのなら、それはそれで仕方がない」と答えた。

 同美術館のウラジーミル・グセフ(Vladimir Gusev)ディレクターは、スタローン氏の作品には「情熱的な人間の特徴」が表現されており、「単なる素人の作品」ではないと説明した。

 展覧会初日には、同氏の作品を一目見ようと約1000人が美術館を訪れ行列を作った。実際に作品を鑑賞した女性は、「スタローン氏の映画は観た。ああいうマッチョな人間が絵を描いたって別に驚くことではないし、絵も見ておきたい」と述べた。しかし別の男性は「もしほかの誰かが描いたものだったとしたら、ここまで注目されることはなかっただろう」と述べ、「これは芸術ではなくコマーシャル戦略だね」と冷ややかなコメントを寄せた。

 国立ロシア美術館は帝政時代の1895年、ニコライ2世(Nicolas II)によって建てられた。収蔵品は主にロシア芸術。(c)AFP/Marina KORENEVA