【10月26日 AFP】米テキサス(Texas)州の狩猟クラブが25日、アフリカ南西部の国ナミビアでの絶滅危惧種クロサイ1頭の狩猟許可証を競売にかけると発表した。最高100万ドル(約9700万円)の資金を作りたいとしている。

 ダラスサファリクラブ(Dallas Safari Club)のベン・カーター(Ben Carter)事務局長は「まず何よりも、これはクロサイを守ることが目的だ」と述べた。狩猟許可証の競売は2014年1月9日から12日までテキサス州ダラス(Dallas)で開かれる同クラブの年次総会で行われる予定。

 クロサイは国際的に絶滅危惧種とみなされている。世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)によると、現在は約4800頭がアフリカに生息している。

 AFPに送られた声明の中でダラスサファリクラブのカーター事務局長は、ナミビア政府はクロサイ1頭の狩猟許可証の競売を実施する団体として同クラブを選んだとした上で、「少なくとも25万ドル(約2400万円)、できれば100万ドルでの落札を期待している。その全額をナミビアのクロサイ保護信託基金が受け取る」と述べた。

 一定の制限の下で行う狩猟は、米国の野生生物保護当局や国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)、ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered SpeciesCITES)でも支持されている保護戦略だ。ナミビアには野生のクロサイが1795頭生息しており、年間最大5頭の狩猟割り当てがある。

 米魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)の狩猟許可部門の責任者バン・ノーマン(Van Norman)氏によると、クロサイは縄張り意識が強く、年老いた雄がいると若い雄の繁殖行動が阻害されるため、ナミビア政府は既に繁殖行動を済ませ、生殖能力が落ちてきている雄のクロサイが狩猟対象として最も適していると考えているという。

 米政府はダラスサファリクラブに狩猟したクロサイの死骸を米国内に持ち込む許可をまだ与えていない。米動物愛護団体「全米人道協会(Humane Society of the United StatesHSUS)」は狩猟許可証競売を「憂慮すべき」問題と受け止めており、獲物の米国内への持ち込みに反対する運動を展開するとしている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN