【10月25日 AFP】カナダ旅行に無料でご招待、さらに新品スーツケースをプレゼント!――オーストラリアの夫婦にとって、それは長年の夢がかなった旅行のはずだったが、図らずも薬物の運び屋にされていたことが発覚した。

 オーストラリア連邦警察が25日、明らかにしたところによると、パース国際空港(Perth International Airport)で13日、カナダ旅行から帰国した夫72歳、妻64歳の夫婦がスーツケースに不審な点があると税関職員に申し出たため2人のスーツケースを調べたところ、スーツケースの裏張りに隠された覚せい剤のメタンフェタミン計3.5キロが見つかった。警察はカナダで夫婦のスーツケースが入れ替えられたとみている。

 捜査当局は同日、38歳のカナダ人の男を同空港で逮捕。男は大量の薬物を密輸しようとした罪で起訴された。

 一方、夫婦については、念入りに仕組まれた詐欺の犠牲者で、意図せずして薬物密輸に加担させられたとみていると、警察は声明で発表した。

 逮捕された男らは、カナダを拠点とする架空の旅行会社「オースキャン・ツアーズ(AusCan Tours)」を名乗り、カナダへの往復航空券、ホテル7泊分と新品のスーツケースが当たるという触れ込みで高齢者を狙った詐欺を行っていた。

 空港警察によると、正当な旅行会社に見せかけるため、男らはかなりの時間をかけて巧妙に詐欺を仕組んでいた。だが、カナダから帰国した夫婦が不審感を隠さず税関に申し出たため、容疑者の逮捕につながったという。(c)AFP