【10月24日 AFP】米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が、シリア問題をめぐる方針の相違をめぐって親米国のサウジアラビアが米国と距離を置こうとしていると報じたことについて、米国務省の報道官は23日、同盟関係にある両国は今後も強い関係を保っていくと述べ、報道を否定した。

 WSJ紙は、サウジの情報機関トップで総合情報庁長官のバンダル・ビン・スルタン王子(Prince Bandar Bin Sultan al-Saud)が先週末、首都リヤド(Riyadh)で開いた欧州の外交官らとの非公開会合で、シリア反体制派への武器供与と訓練提供について、米国との協力関係を縮小するとの意向を伝えた、と報じた。

 サウジ政府が米政府に対し、協力関係を縮小すると伝えた事実はあるかと質問された米国務省のマリー・ハーフ(Marie Harf)副報道官は、「私が知る限り、サウジ側から国務省にそのようなメッセージが送られた事実はない」と明言。「サウジとの根本的な協力関係は強固なもの。米政府は、幅広い問題についてのサウジの取り組みを評価している」と述べた。

■「安保理入り辞退は米へのメッセージ」

 サウジ政府は先日、国連安全保障理事会(UN Security Council)の非常任理事国に選出されたものの、シリア内戦終結のために安保理が十分な機能を果たしていないとして、安保理入りを辞退した。WSJ紙が外交筋の話として伝えたところによると、バンダル王子は「安保理入りの辞退は国連ではなく米国に向けたメッセージだ」と述べたという。

 外交官らとの会合でバンダル王子はまた、米中央情報局(CIA)と協力して実施してきたシリア反体制派の訓練から手を引き、ヨルダンやフランスなどの他の同盟国と協力していく意向を示したとされる。

 WSJ紙によると、サウジ政府は特に、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が保有する化学兵器を標的とした攻撃を米国が実施しなかったことに不満を持っており、米国または国連には「反体制派のアサド氏打倒を支援し、シリア内戦終結に向けたより効果的な行動計画の策定」を期待しているという。

 イスラム教スンニ(Sunni)派が多数を占めるサウジはまた、イスラム教シーア(Shiite)派を国教とするイランとの関係改善を目指す米国の動きも慎重に注視している。

 サウジの最高意思決定権はアブドラ・ビン・アブドルアジズ国王(King Abdullah bin Abdul Aziz)にあり、バンダル王子の発言が、シリア問題への本格的な介入を求め米国に圧力をかける方法をめぐりサウジ政権内で意見が割れていることを示すものなのかどうかは今のところはっきりしないと、WSJ紙は付け加えている。(c)AFP