大増殖のウサギを殺処理へ、英スコットランドの島
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【10月24日 AFP】風が吹きすさぶ英スコットランドの島に暮らしているのは、わずか12人の人間と、1万6000羽のウサギだ。しかし、ウサギが巣穴を掘り過ぎたために地滑りが起きたとして、現地自治体は21日、ウサギ数千匹を殺処理する方針を発表した。
ウサギの増殖が問題となっているのは、厳然とした自然が広がるスコットランド西岸、ヘブリディーズ諸島(Hebrides)の一部、インナー・ヘブリディーズ(Inner Hebrides)にあるカナ(Canna)島。
自然・歴史資産保全団体ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド(National Trust for Scotland)は、この辺境にある全長7キロほどの小島を掘り尽しているウサギの数を抑え「持続可能な」レベルまで戻さなければいけないと警告している。
同団体の広報は、カナ島で前週起きた地滑りの原因の一部は、地下に掘られたウサギの巣穴のせいで土壌の構造が弱まったせいだという。この地滑りによって島で唯一の道路は数日間、通行不能となった。
カナ島の住民の1人、ウィニー・マッキノンさんは英紙タイムズ(The Times)に対し、ウサギたちは島の墓地から埋葬された人の骨さえも掘り返していると語った。マッキノンさんはウサギの増殖ぶりについて「ウサギパイを山ほど食べているけど、追いつかない」と嘆いた。
ナショナル・トラストでは現在、ウサギの殺処理を請け負ってくれる業者を探している。広報によれば最も現実的な解決方法は「撃ち殺す」ことだという。また、殺処理する数について具体的な数字は挙げなかったが、数千匹になることは確実だと述べた。
カナ島では数年前にネズミが増え過ぎる騒ぎもあった。この時は06年にナショナル・トラストが一掃作戦を立ち上げ、2年かけて、海鳥の営巣地を襲い卵を食べるなどしていたネズミ5000匹を根絶した。(c)AFP