【10月21日 AFP】学校行事への参加中に身柄を拘束され、フランスからコソボに強制送還されたロマ人の少女、レオナルダ・ディブラニ(Leonarda Dibrani)さん(15)とその家族が20日、市街地で襲撃された。ディブラニさん一家の強制送還については、その手法をめぐりフランスで論争の的となっている

 コソボの警察関係者が匿名でAFPに語ったところによると、ディブラニさん一家はコソボ・ミトロビツァ(Mitrovica)の路上で見知らぬ2人組に襲われた。母親のジェマイリ(Xhemaili Dibrani)さんが負傷し病院で治療を受けたという。子どもたちは無事だが、大きなショックを受けており、警察署で一時的に保護された。

 一方、別の警察関係者は記者団に対し、この事件に関連して4人を取り調べていることを明らかにした。事件の背景にはディブラニ家と、過去にジェマイリさんと離婚したビスリミ(Bislimi)氏一家との間に確執があるとみられるという。ビスリミ氏と家族は4か月前にスイスからコソボに戻ったばかりだという。

■レオナルダさんだけならフランス帰国も

 レオナルダさんの身柄が校外学習中に拘束され、そのまま強制送還されたことから、フランスでは多くの批判が寄せられている。レオナルダさんの帰国とマニュエル・バルス(Manuel Valls)内相の辞任を求める声も上がっている。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は19日、レオナルダさん1人だけならフランスへの帰国も可能との提案を行ったが、レオナルダさんはこの提案を直ちに却下。父親のレシャット(Reshat Dibrani)さん(47)も、家族がバラバラになることは考えられず何が何でも一緒にフランスに戻ると述べた。

 レシャットさんによると、レシャットさん自身はコソボ生まれだが、妻ジェマイリさんはイタリア出身で、6人いる子どものうちレオナルダさんを含む5人もイタリア生まれ。コソボを知らない子どもたちが「家から外に出るのを怖がっている」とした。(c)AFP/Ismet HAJDARI