「地上の楽園」が抱える「毒の爆弾」、モルディブのゴミの島
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【10月18日 AFP】サンゴに縁取られた島々が青い海に浮かぶインド洋の島国モルディブ。だが、飛行機が高度を下げて滑走路へと近づくにつれ、その真ん中から煙がうねりながら立ち上っていることに気付く。それは楽園のようなこの島国が抱える、災厄ともいえる環境問題を浮き彫りにする煙だ。
首都マレ(Male)から船で約30分、世界の富裕層や有名人がハネムーンを楽しむ他の島々と同じ白い砂浜と澄んだ海に囲まれたティラフシ島(Thilafushi Island)の島内には、ゴミの山が広がる。この光景にはモルディブのリゾート産業にも大きな責任がある。政府統計によれば、マレの住民が排出するゴミの量が1日平均2.8キロなのに対し、観光客の残すゴミは同7.2キロにも上る。
ペットボトルやエンジンオイル、金属や紙類は手作業で回収されてインドへ送られ、残りのゴミはその場で焼却処分される。しかし作業員が見落とした電子機器や電池などが焼却され、有毒煙を排出しているのが現状だ。地元当局は焼却炉の建設を開始したが、計画は5年遅れている。
AFPはリゾート産業が生み出すゴミへの対策についてモルディブ観光業協会(Maldives Association of Tourism Industry)に再三取材を申し込んでいるが、協会側は拒否の姿勢を貫いている。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT