【10月18日 AFP】米連邦議会下院で16日夜、米政府の債務上限引き上げ法案の採決の最中に突然、速記官の女性が「神はあざけられることはない」などと叫び出すハプニングがあった。米メディア報道によるとこの速記官は17日、「聖霊に従った」と説明したという。

 この速記官は米メディアによってダイアン・リーディ(Dianne Reidy)氏と特定された。リーディ速記官は連邦債務を引き上げて政府機関の一部閉鎖を解除するための法案の採決が行われていた下院の演壇に上り、議員や職員らがあぜんと見つめる中、大声でこう叫び始めた。

「神はあざけられることはない。神はあざけられることはない。この場における最大の欺瞞(ぎまん)は、この国が神の下にある1つの国ではないということだ。そうだったことは一度もない」

「(米)憲法はフリーメーソン(Freemason)らによって書かれたわけではない。彼らは神に反する」

 リーディ速記官は他の職員によって退場させられ、米首都警察に連行された。報道によれば、速記官はエレベーターへと誘導される際、さらに「2人の主人に仕えることはできない。神をたたえよ!主なるイエス・キリストは永遠に世を治める」と叫んだという。

「フリーメーソン」は起源を中世にまでさかのぼる友愛組織で、米合衆国憲法に署名した39人のうち13人が所属していた。

 AFPの取材に応じた首都警察によると、速記官は事情聴取を受けたが逮捕はされなかった。その後、経過をみるため病院へ連れて行かれたもようだという。

 米FOXニュース(Fox News)の議会担当記者チャド・パーグラム(Chad Pergram)氏は17日、マイクロブログのツイッター(Twitter)への投稿で、リーディ速記官が「聖霊が夜中に私を起こして、議会に神のお告げを伝えよとささやくんです」と語っていたことや、議会で行動を起こすのは「気が進まず疑念もあった」が、そうせざるを得ないと感じていたことなどを明かしている。(c)AFP