【10月16日 AFP】米国の債務上限の引き上げ期限となる17日午前0時(日本時間17日午後1時)が目前に迫っているが、与野党はいまだ合意に至ることができず、デフォルト(債務不履行)や世界経済への影響が強く懸念されている──。

 債務上限引き上げの合意については、上院での瀬戸際の交渉に最後の期待が寄せられている。しかし、いかなる合意案も、共和党が多数を占める下院で承認される必要がある。だが、下院の保守派ティーパーティー(Tea Party、茶会)の議員らは、一歩も譲歩することなく、これまでの妥協案を全て拒否している。

 期限内に16.7兆ドル(約1600兆円)の債務上限引き上げで議会が合意できなければ、米財務省の資金は枯渇し始め、やがてデフォルトに陥る危険性がある。

 そのような事態は米経済にとって大きなマイナスとなり、米消費者の借り入れ金利を押し上げ、世界経済に大きな衝撃を及ぼす恐れがある。市場が不安感を高める中、格付け大手フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)は、米国債の長期信用格付けを最上級の「AAA(トリプルエー)」から引き下げる検討をしていると警告した。

■下院共和党まとまらず、上院に突破口期待

 出口戦略は、依然として民主党のハリー・リード(Harry Reid)上院院内総務と共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務との協議に期待が寄せられている。

 15日に下院のとりまとめが混乱の中で失敗したことを受けて、2人は解決策の模索を始めた。共和党のジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長は、債務上限引き上げと米政府機関の再開をめぐって下院共和党からの支持をまとめることができず、下院少数派の民主党と協力をすることも拒んでいる。

 債務上限の引き上げ期限が目前に迫っているが、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の民主党と下院多数派の共和党との対立は続いており、米国の政治制度は事実上の機能不全に陥っている。(c)AFP/Stephen COLLINSON