【10月14日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)の警察は14日、移民を対象とした取り締まりを実施し、1200人の身柄を拘束したと発表した。同市では先週、ロシア人男性(25)が非ロシア系とみられる男に殺害される事件が発生し、取り締まりの対象となった青果市場では13日に移民排斥を叫ぶ暴動が起きていた。

 モスクワの警察の代表は「ビリュリョボ(Biryulyovo)地区の青果市場で行った取り締まりで、犯罪への関与を調べるために約1200人の身柄を拘束した」とAFPに語った。これは「地区内で起きた犯罪」との関連を調べる「通常の予防的取り調べ」だという。

 一方、大きな事件の捜査を担当するロシア連邦調査委員会(Investigative Committee of Russian Federation)は、ロシア人男性を殺害した疑いがある非ロシア系民族とされる男の「大規模な捜索」を警察当局が行っていると述べた。

「捜査当局は容疑者のビデオ画像を入手しており、大規模な捜索を行っている」と、同委員会の広報担当者、ウラジーミル・マルキン(Vladimir Markin)氏はインタファクス(Interfax)通信に語った。

■「非ロシア系容疑者」報道から暴動へ

 殺害された男性は、10日にモスクワ南部のビリヤード店から恋人と出た際に何者かに襲われた。

 容疑者の人種について公式の発表はないが、地元メディアは監視カメラの映像に「非スラブ系の外見」の男が写っていたと報じた。

 モスクワの青果市場は、主に中央アジアとカフカス地方のイスラム圏からの移民労働者が働いている。ビリュリョボの青果市場に容疑者が隠れていると思い込んだ暴徒が、13日に同市場を襲撃した。

 警察当局は14日、市場付近に停められた車から、拳銃やナイフ、そして「数百万ルーブル(数百万~数千万円)」の現金が発見されたと新たに発表した。(c)AFP