【10月14日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)で13日、ロシア人男性が刺殺された事件をきっかけに起きた移民排斥を叫ぶ極右のデモが暴徒化し、商店のショーウインドーを割ったり機動隊員らに暴力を振るったりして380人以上が逮捕された。

 デモはモスクワ南部の工業地区ビリュリョボ(Biryulyovo)で発生。「ロシアはロシア人のもの」などと叫びながら行進するデモ隊は1000人以上に膨れ上がり、警察は市全体に警戒警報を出した。目撃者は、警察のヘリコプターが上空を旋回し一帯はまるで戦場と化したようだったと証言。2012年5月にウラジーミル・プーチン大統領が3度目の同職に返り咲いて以来、警察ヘリが出動する事態は初めてだ。

 デモのきっかけは、10日に地元男性(25)が何者かに刺殺された事件。目撃者は男性の婚約者だけで、事件の詳細は分かっていないが、監視カメラの映像から、現場から逃走した男は中央アジアかカフカス(Caucasus)出身である可能性が指摘されている。

 デモが暴徒化したのは13日午後で、組織化された黒服姿の若者数百人が行進の列から飛び出して、殺人事件の容疑者が潜んでいると疑いをかけた青果市場を襲撃。商店のウインドーにビールビンを投げつけたり、駆け付けた機動隊員らに棒や金づちで殴りかかったりしたという。

 モスクワでは近年、中央アジアやカフカスなどイスラム教地域出身の移民労働者が大量に流入していることから、白人系ロシア人との間で緊張が高まっている。13日の暴動は、2010年12月に地元サッカーチームのファンと民族主義者の若者ら5000人が衝突した事件以来、最大の規模となった。(c)AFP/Dmitry ZAKS