米政府閉鎖で国民うんざり、生活の至る所に影響
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【10月10日 AFP】米政府機関の一部閉鎖が2週目に入り、国民は終わりの見えない政治的なこう着状態にうんざりしている。狩猟シーズンや結婚式、軍葬など、至る所に閉鎖の影響が出ており、国民のいら立ちは募る一方だ。
米世論調査会社ギャラップ(Gallup)が7日に発表した調査結果によると、議会支持率は11%と、昨年記録した史上最低支持率との差わずか1ポイントにまで低下している。
各メディアは、「不可欠」ではないとみなされた行政サービスの停止で影響を受けている人々の様子を、盛んに取り上げている。
これまで昼夜問わず公開されていた国立記念碑に近づくことができなかった第2次世界大戦(World War II)の退役軍人たち。米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)で実験薬の投与を受けることができなかった病気の子どもや死に瀕した子どもたちの姿。
国立公園の閉鎖で結婚式の延期を余儀なくされ、涙を流す花嫁たち。始まったばかりの狩猟シーズンに野生動物の保護区から締め出された狩猟愛好家たち。連邦政府が出資する保育所の閉鎖に絶望する親たち。食品検査当局や疾病対策当局の職員らが一時帰休に入る中、サルモネラ菌の大規模な感染も発生した。
また8日の報道によると、週末にアフガニスタンで死亡した陸軍兵士4人と海兵隊員1人の家族が、遺族給付金の支給が始まるまでの生活費と葬儀の費用に充てるための死亡賜金10万ドル(約970万円)を受け取ることができなくなっているという。死亡した兵士の父親ランダル・パターソン(Randall Patterson)さんは米NBCニュースに、「議員が川に落ちた車の中に閉じ込められたら、車の窓まで泳いで行って、奴ら全員の目を見て『水でも吸え』と言ってやる」と怒りをぶつけた。
さらに、閉鎖期間中、給与が支払われない連邦政府職員の多くが貯金を切り崩したりクレジットカードを使ったりして生活をする一方で、連邦議会議員は給与を受け取っている上に、「不可欠なサービス」と判断された議員限定のジムでサウナを楽しんでいるというニュースも流れた。
米アイオワ大学(University of Iowa)のステファン・シュミット(Steffen Schmidt)教授は、閉鎖が長引くことによる経済への影響は恐ろしいものになるとし、議会が17日までに連邦政府債務の上限引き上げで合意しない場合は悲惨な事態になると警告。だが一方で、社会的な利点もあると指摘している。
シュミット氏によると、米国民は一般的に、連邦政府が自分たちの生活に与えている影響や、どれほど効率的に機能しているかを認識していないという。「最終的に、自分たちが払う金への対価を多く受け取っているという事実に、より多くの人々が気付くことになるだろう」と同氏は述べた。
7日公表の米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)による調査によると、米国民の約28%が政府機関の閉鎖で「個人的に不便な思いをした」と答えた。
ウィスコンシン(Wisconsin)州のマーケット大学(Marquette University)の世論専門家チャールズ・フランクリン(Charles Franklin)氏は「多くの人々、特に右寄りの人々は、(政府機関閉鎖の影響には)どうせ誰も気付かないだろう、と語っていた。だがこの調査結果は、それが間違っていたことを示している。政府による影響を本当の意味で実感するのは文字通り、政府機関の機能が停止された時。つまり、天気予報も航空管制も何もない状態になった時だ」と話した。(c)AFP/Mira OBERMAN