【10月9日 AFP】日本は、第2次世界大戦(World War II)の敗北は原爆だけによるものではないことを自覚し、戦後の世界秩序に挑戦すべきではない──中国の崔天凱(Cui Tiankai)駐米大使は8日、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)にある米ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院(Paul H. Nitze School of Advanced International StudiesSAIS)で行われたフォーラムでこのように発言した。

 崔大使は、「(日本の)一部政治家」は1945年の広島と長崎への原爆投下によって日本は降伏を強いられたと考えているが、それは「大きな間違いであり、非常に危険な考え方だ」と指摘。「彼らは、日本は米国さえ敵に回さなければ何の問題もなく、その他の国々が持つ懸念に配慮する必要はないと考えている」と批判した。

 また崔大使は、「日本は米国が投下した2発の原爆だけでなく、平和を愛し、反ファシズムの精神を持つ連合国(United Nations)側の国々とその全国民に敗北したのだ。日本を打ち負かした側には米国と中国も入っているのは言うまでもない」と述べた。「日本の政治家たちは、それこそが第2次大戦後の国際秩序だということを明確に理解する必要がある。その秩序に挑戦することはできない」。

 東アジアでは歴史問題は今でも論争を呼ぶ話題だ。日本はこれまで、20世紀に「(アジアの人々に)多大な損害と苦しみを与えた」と謝罪したが、中国と韓国の多くの人は「アジアにおける過去の領土拡張政策に対する自責の念が足りない」と日本を非難している。これに対し日本の一部には、意図的に緊張を高めているとして中国と韓国を批判する声もある。

 戦後の日本は平和主義を掲げ、国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国入りを目指してきた。しかし、現在の常任理事国は終戦当時の力関係を反映して決定されたものであり、アジアで唯一拒否権を持つ中国は、日本が常任理事国となることに断固として反対している。今年5月には韓国紙が広島と長崎への原爆投下は「神の懲罰」だとする文章を掲載し、日本政府は正式に抗議した。(c)AFP