【10月9日 AFP】英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)は8日、開発段階にある抗マラリア・ワクチンについて、子どもを対象とした臨床試験で部分的な予防効果が明らかになったため、販売承認を申請すると発表した。

 GSKが開発を進める抗マラリア・ワクチン「RTS,S」は、世界初の抗マラリア・ワクチンとなることが期待される最有力候補として、以前から大きな注目が集まっていた。世界保健機関(World Health OrganisationWHO)発表の2010年の統計によると、世界で約2億2000万人がマラリアに感染し、うち66万人が死亡している。死亡者数はアフリカの幼い子どもたちが最も多い。

 RTS,Sの第3相臨床試験の結果は、南アフリカ・ダーバン(Durban)で開催されたマラリア専門家会議で公表された。それによると、生後5~17か月の乳児にワクチンを接種したところ、18か月が経過した時点で、ワクチン接種を受けていない同年代の乳児に比べ、臨床マラリアのリスクが46%減少したという。だが、ワクチン接種時で生後6~12週の0歳児では有効性は低くなり、リスクの減少は27%にとどまった。

 GSKの広報担当者がAFPに語ったところによると、同社は貧困国への新薬投入の円滑化を目的とするプロセスの下で、欧州医薬品審査庁(European Medicines AgencyEMA)に申請書を2014年に提出する予定だという。EMAはこのプロセスの下で、ワクチンの安全性と有効性に関する「科学的意見」を提示する。

 これにより、ワクチンがWHOの検討対象になる道が開ける。そうなれば、WHOによるアフリカの国々でのワクチン承認の加速化が可能になる。

 GSK広報担当は「今回の目的は、マラリア・ワクチンを欧州連合(EU)で利用できるようにすることではない。なぜなら、マラリアにかかるリスクが最も高いサハラ以南のアフリカの子どもたち向けて特別に開発されたものだからだ」と話している。(c)AFP