【10月8日 AFP】細くスレンダーなモデルの広告イメージであふれる米ニューヨーク(New York)──この街でそんなイメージに惑わされないよう、少女たちの自尊心を高める運動が始まっている。

 今や世界中の女性が自分の体に自信が持てずに悩む時代。だが、ニューヨーク市の公的助成金を得て始まった今回の運動は、大人になる前から少女たちに自尊心を持たせようというもので、対象は7歳の小学生からだ。

 ニューヨーク市によれば、10歳の少女の80%以上が太ることを心配し、中学生になった頃には40~70%が、自分の体に嫌いなところが2~3か所あるという。

 そんな少女たちにもっと自信をつけさせようと、市は今週、市内を走るバスや地下鉄にポスターを貼り出した。キャッチコピーは「私はありのままで美しい」だ。「未来の女性たち」に、人の価値とは外見によるものではなく、個性や人柄、技能などから生まれるものであることを教えようというコンセプトだ。

 この運動のポスターになっているのは、白人、ヒスパニック系、アフリカ系、アジア系とさまざまな人種が集まるニューヨークを代表する「普通の」少女たち15人だ。バスケットボールをしたり読書をしたりする姿が写真に収められている彼女たちの中には、太めの子もいれば、歯の矯正をしている子、車椅子に乗っている子もいる。

 写真のキャプションには、少女たちが自分の特徴を語った自己紹介が使われている。丈夫そうなアフリカ系の少女デボラちゃん(12)はこう言っている。「わたしは面白い性格で、冗談とかが好きで、大胆で強くて好奇心旺盛で、頭が良くて勇気があって、健康でフレンドリーで、人の面倒見がいいです」。リーダー性があることやタフなこと、社交的なことを挙げる少女もいた。

 少女たちの63%が、ファッション界が生み出す女性のイメージは非現実的だと認識している。だが一方で、60%がモデルたちと自分の体を比べ、48%がモデルと同じくらい細くなりたいという願望を抱いている。また少女たちの3分の1近くが、痩せるために食事の量を減らしたり断食したりしているという。

 今回の運動「ニューヨークシティ・ガールズ・プロジェクト(New York City Girls Project)」を率いる市の担当責任者サマンサ・レビーン(Samantha Levine)氏は言う。「私たちのゴールは少女たちに、外見ではないことでもっとずっと評価されるのだ、誰かが考える美しさの基準に合わせようと苦労する必要などないんだ、ということを分かってもらう手助けをすることです」(c)AFP/Brigitte DUSSEAU