【10月8日 AFP】カナダのスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相は7日夜、スリランカにおける深刻な人権侵害について同国政府が十分な説明責任を果たしていないとし、スリランカのコロンボ(Colombo)で11月に開かれる英連邦首脳会議をボイコットする考えを明らかにした。同首相はまた、英連邦への拠出予算を見直す考えも同時に表明している。

 ハーパー首相は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれているインドネシアのバリ(Bali)島で会見し、長年にわたったタミル人分離独立運動との内戦中、そしてそれ以降も続いた「深刻な人権侵害についての説明責任が果たされていない」と述べ、11月15~17日の首脳会議をボイコットすると語った。

 またハーパー首相は、スリランカ政府が民主的な統治や戦後の和解、人権尊重などの点についてこの数年で「相当に悪化している」と述べ、英連邦への関与や援助についても見直す考えを示した。昨年、カナダが拠出した英連邦予算額は英国に次いで2番目に多かった。

 国連(UN)は、2009年5月に終結したタミル人反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(Liberation Tigers of Tamil EelamLTTE)」との内戦で、最後の数か月間に、最高で4万人の民間人が殺害されたとする「信頼できる申し立て」があったと報告している。一方のスリランカ政府は疑惑を否定しており、スリランカ軍は民間人を1人も殺害していないとの主張を維持している。(c)AFP