【10月8日 AFP】米マイクロブログサービス、ツイッター(Twitter)の新規株式公開(IPO)の申請書類で初めて示された10億ドル(約970億円)という数字は、2012年の米フェイスブック(Facebook)の上場でみられた「過ち」を避けようとするツイッターの慎重な姿勢の表れのようだ。

 米ウェドブッシュ・セキュリティーズ(Wedbush Securities)のアナリスト、マイケル・パクター(Michael Pachter)氏はツイッターのIPO計画について「驚きなのは、その小さな規模だ。賢明だと思う。フェイスブックの失敗は市場に株をあふれさせたことだ」と述べた。

 IPOの申請書類によって明らかになったツイッターが見込んでいる調達額は、ウェドブッシュが事前に想定していた約150億ドル(約1兆4500億円)と比較すると控えめな水準だ。パクター氏は、「比較的小規模なのはフェイスブックが経験した問題を回避するためだ。フェイスブックの約160億ドル(約1兆5500億円)のIPOは市場での需要をはるかに上回っていた」と述べた。

■割れる専門家の意見

 ツイッターが申請書の中で公開した各種データが、ユーザー数や収益の増加についての最も楽観的な予想に沿うものではなかったとの指摘もある。申請書によると、6月末時点での月間アクティブユーザー数は前年同期比44%増の2億1800万人。12年の売上高は約3億1700万ドル(約300億円)、損益は約8000万ドル(約77億円)の赤字だった。また13年上半期の売上高は2億5360万ドル(240億円)、損益は約6900万ドル(約66億9000万円)の赤字となった。

 ワイアード(Wired)誌の共同創刊者で、ブログネットワークの「Federated Media Publishing」を設立したジョン・バッテル(John Battelle)氏は、いくつかの点で、グーグルやフェイスブックのような大企業のIPO前の水準には及ばないものの、ツイッターの収益増加は見事と評価する。同氏は「財務面では、ツイッターはグーグルにはかなわないが(だからと言って)まったくダメな企業ではない」とコメント。「第3四半期の業績がどうなるか興味深いところだ。私の予想では極めて良好だ」とブログで述べた。

 一方で、調査機関グローバル・エクイティーズ・リサーチ(Global Equities Research)のアナリスト、Trip Chowdhry氏は、投資家は変化の激しい業界への投資にもっと慎重になるべきと話す。同氏はAFPに、厳しい競争に加え、ピンタレスト(Pinterest)やフェイスブックのインスタグラム(Instagram)など、より視覚に訴えるソーシャルメディアに注目が集まる兆候を踏まえると、ツイッターの企業価値は30億ドル(約2900億円)程度と指摘。「ツイッターにとってIPOは成長の始まりではなくピークとなる」との見方を示した。(c)AFP