【10月7日 AFP】インドネシアのスマトラ(Sumatra)島で先週開催されたアジアのサイの保護に関する会合で、参加した関係各国の代表者らはサイの個体数を2020年までに年間で最低3%増加させる取り組みで合意した。2、3両日に開催された会合には、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ネパールが参加した。

 世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)の「絶滅のおそれのある種のレッドリスト」では、アジアのサイ3種のうち、スマトラサイとジャワサイは近絶滅種、インドサイは危急種に指定されている。サイの角は中国の伝統的な薬の原料として重宝されていることから密猟が横行し、その個体数は激減している。世界自然保護基金によると、現在約3500頭が現存するのみだという。

 会合での取り決めについて、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)は4日、「アジアのサイの回復に向けた大きな一歩」として各国の合意を歓迎した。IUCNのサイモン・スチュアート(Simon Stuart)氏は「ジャワサイとスマトラサイを中心にアジアのサイの数は減少しており、現状を維持するだけでは十分な対策にならない。個体数を着実に増やすことが必要だ」と述べた。WWFも合意を歓迎し、各国政府に具体的な行動を遂行するよう強く求めた。

 角に限らず、サイは伝統的な薬の原料として珍重されているため、闇市場では高値で取引されている。(c)AFP