【10月6日 AFP】アルゼンチンは非在来型資源のシェールオイルへの大型投資によりエネルギーの自給自足を実現し、毎年多額の経済的負担を強いられている輸入への依存から脱却することを目指している。

 アルゼンチンはシェールオイル開発のパイオニア。米国の統計によればアルゼンチンのシェールオイル生産量は中国と米国に次ぐ世界3位。アルゼンチンの国営石油会社YPFは2年前、パタゴニア(Patagonia )のロマララタ(Loma la Lata)鉱区で生産を開始した。ロマララタは豊かなシェール層が存在するバカムエルタ(Vaca Muerta、「死んだ雌牛」の意)鉱区の一部。

 シェールオイルの商業生産には、シェールガスと同様、特殊な掘削技術である水圧破砕法(フラッキング)や水平掘削法が必要となる。

 YPFはシェールオイル関連のノウハウを生かしてロマララタ鉱区とバカムエルタ鉱区で年間200前後の抗井を稼働させている。同社は今後10年で150億ドル(約1兆4600億円)を投じ、抗井の数を1500~2000に増やす計画だ。YPFの非在来型石油部門の責任者、パブロ・ユリアーノ(Pablo Iuliano)氏は「2000坑の鉱区が2か所あれば国内の石油需要を100%賄うことができ、残りを輸出に回すこともできる」と話した。

 アルゼンチンの11年の石油輸入額は110億ドル(約1兆1000億円)を超える。13年は130億ドル(約1兆3000億円)に増える見込みだ。アルゼンチンにとってバカムエルタの資源開発はエネルギー部門の立て直しと貿易黒字達成のための大きな希望で、単なる夢物語ではなく既に実現へ向けて歩みを進めている。

 YPFの7月の非在来型石油の生産は日量8000バレル前後だった。今年末までに日量1万7000バレル、14年は同3万8000バレル、15年は6万バレルに拡大する計画だ。(c)AFP/Liliana SAMUEL