【10月4日 AFP】フランス議会下院は3日、インターネット小売大手米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)などが提供している書籍の割引販売と無料配達を組み合わせたサービスを禁止する法案を、全会一致で可決した。経営不振に陥っている国内の小規模書店を支援するのが目的で、今後、上院も通過して新法として成立する見込みだ。

 フランスでは1981年から、小規模書店の保護策として出版社に書籍の定価を定めることを義務付け、販売時の割引率を最大5%に制限している。今回下院を通過した法案は、この5%の割引と無料配達を組み合わせたサービスの提供を全ての書籍の通信販売業者に禁じるもの。

 法案を提出した最大野党・国民運動連合(UMP)のクリスチャン・ケルト(Christian Kert)下院議員は、書籍市場で利益を上げているのはネット書店のみだと指摘。「投資利益率の非常に低い個人経営の書店は、生き残りが難しくなっている」と述べた。

 アマゾンはこの法案について、差別的だとして猛反発しており、AFPに送付した声明で「書籍の価格をつり上げようとするいかなる措置も、フランス国民の消費力を低下させネット通販利用者に対する差別を生み出す結果にしかならない」と批判している。(c)AFP