アフリカ難民船がイタリア沖で沈没、死者300人超える恐れ
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【10月4日 AFP】イタリア沖で3日、500人近くのアフリカ難民を乗せた船が出火後に沈没した事故は、犠牲者が300人を超える恐れが出てきた。地中海ではこれまでにも多数の難民が命を落としているが、近年では最悪の事故となった。
現場近くのランペドゥーザ(Lampedusa)島入りしたアンジェリーノ・アルファノ(Angelino Alfano)内相は、「子ども3人と妊娠中の女性2人を含む93人が犠牲になった」と発表。救助に当たったダイバーらによると、島からわずか数百メートル付近で水深約40メートルに沈んだ船の内部とその周辺に40人以上の遺体があるという。
事故発生から12時間以上経過しているにもかかわらず、海中から救助された人は150人程度にとどまっていることから、最終的な死者数は300人を超える恐れがあるとみられている。
早朝に発生したこの大惨事について、救助隊と地元の漁業従事者は、海中で必死に手を振り、叫び声を上げる難民で「海一面が人の頭で埋め尽くされていた」と、衝撃を隠せない様子で語った。
■沿岸警備隊の注意を引くため毛布に火
生存者によると、同船にはエリトリアとソマリアの出身者が乗っており、リビアのミスラタ(Misrata)港から出航したという。また出火原因について生存者が救助隊に語ったところでは、船内へ浸水が始まり、近くを通過した漁船に無視されたため、沿岸警備隊の注意を引こうと毛布に火を付けたという。その火は間もなく燃え広がって船内は騒然となり、避難する人々がめいめい海に飛び込んだため船は転覆・沈没したものとみられる。
ランペドゥーザ島は、北アフリカや地中海東部沿岸から欧州連合(EU)に亡命を求めて渡って来る移民の主な玄関口の一つ。移民支援団体のネットワーク「Migreurop」によると、過去20年間に粗末な漁船や小型ボートで欧州へ渡ろうとして海上で絶命した移民の数は推定で約1万7000人に上るという。
イタリアのエンリコ・レッタ(Enrico Letta)首相はこの事故を「計り知れない悲劇」と表現し、4日を国喪日に指定し全学校で1分間の黙とうをささげると発表した。同首相はまた、この事故は「欧州全体にとっての悲劇」でもあるとして、欧州に上陸する難民数の急増に対応するため、欧州連合(EU)からさらなる支援を得たいという考えも示した。(c)AFP/Ella Ide