米科学振興協会も政府機関閉鎖に懸念
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【10月3日 AFP】米国の最高峰の科学者たちからなる団体は2日、2014会計年度の暫定予算不成立による米政府機関の一部閉鎖が、科学界の国際共同研究を危機に陥れ、革新的研究の広範囲に打撃を及ぼす可能性があると警告した。
米科学誌サイエンス(Science)の発行元である米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)は声明を発表し、「連邦政府による科学プログラムとその被雇用者の大半は10月1日午前0時をもって支援を失った」と述べた。
AAAS政府関係オフィス(AAAS Office of Government Relations)のディレクター、ジョアン・カーニー(Joanne Carney)氏は声明の中で、「政府機関の閉鎖が1週間以上続いた場合、米国は国際研究で連携する相手として望ましくない、となるだろう。資金面で頼れないとなれば、われわれの研究パートナーの多くは共同研究を継続できなくなるだろう。それによって米国の革新性や競争性に長期的な影響がもたらされる可能性がある」と懸念を表明した。
科学関連機関も政府機関閉鎖の影響を受けており、米厚生省(Department of Health and Human Services、HHS)では職員の半分、国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)の4分の3が無給休暇に追い込まれている。
米航空宇宙局(NASA)では、国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)や進行中の衛星ミッションの支援業務を除き、庁舎の灯りがほとんど消えた。
全米科学財団(National Science Foundation、NSF)は、研究助成金を待っている研究者らに、政府機関の閉鎖中に助成金の支払いはないと警告する予定だ。
世界最大の研究病院である米国立衛生研究所臨床センター (NIH Clinical Center)では通常患者数の9割で業務を続けているが、NIH広報によると、子どもを含むがん患者が百人単位で、最後の可能性に賭けた臨床試験への参加申請を阻まれそうだという。
米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)もまた「食品の安全や栄養、化粧品などに関する活動の大半を支援できなくなるだろう」と警告を発した。定期検査や輸入品の監視、研究調査などは、追って通知があるまで休止せざるを得ないとしている。
米エネルギー省(Department of Energy、DOE)では職員1万3814人のうち、国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration、NNSA)の職員数百人を除く大半が一時帰休となる。(c)AFP/Kerry SHERIDAN