【9月29日 AFP】2014会計年度の暫定予算案をめぐる米議会の協議が難航する中、新会計年度が始まる10月1日から米政府機関が閉鎖される危機が迫りつつある。仮に予算成立が間に合わなければ、次のような事態が発生する公算が大きい。

・ホワイトハウスと議会
業務を継続するものの、一部の職員には一時帰休が言い渡される。国務省も不要不急な業務を担当する非中核職員を一時帰休とする方針。

・国防総省
軍事要員は引き続き任務に当たるが、給与の遅配が発生する場合もあるとしている。同省の文民職員80万人の過半数は一時帰休となる見通しで、同省は多くの職員が「困難を味わう」可能性を警告。

・治安職員
国境警備隊や空港保安検査員は業務を継続。災害対応チームをはじめとした緊急サービスなど、「国民の生命と財産」の保護に従事する要員も任務を継続する。

・医療研究
国立衛生研究所(National Institutes of HealthNIH)は新たな臨床試験の開始や新たな患者の診察を認められず、大きな打撃を受ける恐れがある。

・博物館と公園
国立スミソニアン博物館(Smithsonian museums)や、内務省国立公園局(National Park Service)管轄の公園368か所は閉鎖。1995 年12月から翌年1月まで21日間続いた前回の閉鎖では700万人の観光客に影響が出た。

・米環境保護局(EPA
ジーナ・マッカーシー(Gina McCarthy)長官は、EPAが「事実上閉鎖される」と警告。すなわち水質汚染や大気汚染、石油による汚染の監視や規制は実質的に行われない。

・郵便
独自の資金調達先を持っている米郵政公社(US Postal Service)は業務を継続。連邦準備制度(Federal Reserve)も業務を続ける。

・社会保障
給付金制度の大半は業務を継続する見通しだが、一部で中断も予想されている。社会保障小切手は送付されるものの、関係当局の事務所は閉鎖される見込み。また、退役軍人には給付金が引き続き支払われる一方、障害者への給付金支払いは遅れるとみられる。退役軍人向け病院は診療を継続。

・首都ワシントン(Washington D.C.
議会にはワシントンについて独占的管轄権が付与されている。1995~96年に政府機関が一時閉鎖された際には、ごみの収集停止が失態として問題視された。ビンセント・グレイ(Vincent Gray)市長は、仮に政府機関が閉鎖されても同市の全職員を中核職員として扱うと明言しており、緊急対応基金を原資に賃金支払いを継続する方針。

・米経済
民主党のハリー・リード(Harry Reid)上院院内総務は27日、政府機関の一時閉鎖は「経済を粉々に打ち砕く」とコメント。これは誇張かもしれないが、相当の影響は予想される。米経済調査会社マクロエコニミック・アドバイザーズ(Macroeconomic Advisers)は、仮に10月1日から2週間にわたり政府機関が閉鎖されれば、今年第4四半期の国内総生産(GDP)は0.3%下がると予想している。(c)AFP