【9月19日 AFP】英理論物理学者のスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士(71)は英国放送協会(BBC)とのインタビューで、末期患者の安楽死の概念を支持する考えを示した。

 自身も運動神経系の疾患の一種で難病の筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral SclerosisALS)を患うホーキング博士は、「(安楽死を選ぶことにより)人間は動物を苦しませることはしない。では、なぜ人間に対しては(苦しみを)強いるのか?」とBBCとのインタビューで述べた。しかしその一方で、安楽死の選択にはしっかりとしたセーフガードを設ける必要があると主張した。

 青年時代にALSを発症し、以降数十年間、車いすでの生活を強いられているホーキング博士は、存命する最も明晰(めいせき)な科学者の1人と考えられており、1988年に出版された 「ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)」は世界的なベストセラーとなった。

 以前、肺炎で重篤な状態に陥ったホーキング博士は生命維持装置を付けられたが、この時、装置を外すか否かの選択肢が与えられたのは妻だったという。

 インタビューで、安楽死についての質問を受けた博士は、「末期疾患の患者でひどい苦痛があるのなら、自らの命を絶つ権利を与えられるべき。また、自殺をほう助した者を裁きの対象とするべきではない」と述べた。

「自分の場合もそうなるところだったが、真剣に自らの命を絶つことを考えている人のためのセーフガードを設け、知識や本人の同意なしに安楽死せざるを得ない状況に追い込まれるようなことがないようにすることが必要だ」(ホーキング博士)

 ホーキング博士のインタビューは17日に放映された。(c)AFP