【9月9日 AFP】車1台分ほどもある巨大アルマジロや、バスより大きなワニ、鋭いキバを持ったサーベルタイガー(剣歯虎)も――南米の産油国ベネズエラで石油会社が調査を行っていた土壌から、およそ3億7000万年前~1万4000年前の化石が大量に見つかった。古生物学者にとっては豊富な石油資源に匹敵するほどの財宝だ。

 発掘された標本1万2000点のほとんどは現在、ベネズエラ科学調査機関(Venezuelan Institute for Scientific Research)傘下の古生物学研究室に保管されている。アスカニア・リンコン(Ascania Rincon)室長が引き出しを開けると、2万5000年前の氷河期に生息した体重6トンの古代生物マストドンの大腿骨が姿を現し、骨にこびりついたタールから強い石油のにおいが立ち上った。

 リンコン室長はこれまでの発見に満足することなく、既に次の目標を定めている。この地域に、先史時代の人類が暮らしていた証拠となる人類の化石の発見だ。「近いところまで迫っていますよ。やりの穂先を発見しました」と語る。

 南米大陸北部に位置するベネズエラは複雑な地質学的構造を備えており、石油を含む地下の油層には、たくさんの太古の生物が化石となって「泳いで」いる。化石はオリノコ(Orinoco)川の北側の広域に集中している。

 これまでに発掘された化石には他に、まるでイグアナのような見た目の羽毛のないニワトリや、全長3メートルのペリカン、1200万年前に地上で生活していた巨大なナマケモノなども含まれる。

 ただ、化石の分類には何年もかかる。1頭のサーベルタイガーがかつて生息していたという事実を突き止めるのに、専門家は4年の歳月を費やした。

 ベネズエラ科学調査機関は9月、新種の発見を発表する予定だ。リンコン室長は多くは明かさず、ただ誇らしげに「5000ピースのパズルを解くのに、手持ちが200ピースしかない場合を想像してみてください」と述べた。(c)AFP/María Isabel SÁNCHEZ