バッハ氏ら6人がロゲ会長の後継者に立候補、IOC次期会長選
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【9月6日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic Committee、IOC)は10日に総会を行い、退任するジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長の後任を決めるための選挙を行う。
ここでは、次期会長戦に候補者6人を紹介する。
■トーマス・バッハ(Thomas Bach、ドイツ)
長年にわたってロゲ会長の後継者の最右翼とされ、今選挙の最有力候補。
弁護士でもある59歳のバッハ氏は、若い頃から五輪に深くかかわっていた人物で、1976年モントリオール五輪のフェンシング・フルーレ団体では、選手として金メダルに輝いた。1991年にIOC委員に就任して以降は、3期にわたってIOC副会長を務めている。
1980年モスクワ五輪でボイコットが起こり、自身が西ドイツ(当時)選手団のスポークスパーソンを務めた際、政治家から選手を軽視するような態度を見せられたことをきっかけに、スポーツ界の政治に興味を持ち始める。
バッハ氏は出場選手の利益を最優先事項にしており、世界中のあらゆる国の都市が開催地になれるよう、五輪の規模と費用を肥大化させないようにコントロールすることが大事だと考えている。
最近では過去の旧西ドイツ選手団によるドーピング疑惑が明るみに出たことで、バッハ氏の経歴に影を落としたが、自らがドーピングに関する調査と取り調べを依頼したと主張し、ドーピングへの関与は否定している。
IOC会長に立候補するのは、おそらく今回が最初で最後のチャンスになる。
■セルゲイ・ブブカ(Sergey Bubka、ウクライナ)
陸上・棒高跳びの世界記録保持者であるブブカ氏は、世界陸上で合計6個のタイトルと、1988年ソウル五輪で金メダルを獲得しており、候補者の中でも飛び抜けた知名度を誇る。
しかし、IOC会長は知名度だけで務まるものではなく、49歳のブブカ氏に責任重大なポストを任せるにはまだ早いとみている人も多い。
南アフリカのネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の「スポーツは人の人生を変える力がある」という言葉を借りて、現代の若者に運動に興味を持たせ、スポーツをさせることが大事だと熱心に普及活動を行っている。
■リカルド・カリオン(Richard Carrion、プエルトリコ)
世界の経済不安が続く中、銀行員で慈善活動家でもあるカリオン氏の鋭いビジネス感覚は、IOCにとって心強いものとなる。
1990年にIOC委員に就任したカリオン氏は、プエルトリコのサン・フアン(San Juan)の2004年五輪招致活動にも携わったが、それは失敗に終わっている。
米国における五輪のテレビ放送権をめぐり、テレビ局NBCとの約44億ドル(約4400億)の独占契約を取り付けた張本人でもある。
過去に8年間、IOCの理事も務めた経歴もあり、当選した際にはこれまでの歴代会長とは違ったカラーを出すことが予想される。
カリスマ性に溢れ、いつも目を輝かせているカリオン氏の座右の銘は「最善の結果を望み、最悪の結果に備えろ」。今回の選挙活動では、以前は話せなかった問題についても「心の底から」言及できたとしており、五輪はその根本にある精神を見失ってはいけないと主張してやまない。
ロシアの反同性愛法については候補者6人の中で最初に声を上げた人物で、今後は社会の少数派に対して差別を掲げる都市には五輪開催を許さないと表明している。
スイス・ローザンヌ(Lausanne)でのプレゼンテーションには台本なしで臨み、全体的に好印象を与えたが、これまで長年にわたり一部のIOC委員とかかわりを持っていなかったカリオン氏が、突然票集めを行っていることに懐疑的な見方をするメンバーもいる。
■セルミャン・ウン(Ng Ser Miang、シンガポール)
外交官で、企業家としても成功している中国生まれのウン氏は、1998年にIOC委員に就任し、2009年からは副会長を務めている。IOC委員会のメンバーから人気があり、バッハ氏の対抗馬との見方も多い。
現在はシンガポールの在ノルウェー大使であり、かつてはロゲ会長と同様にヨットの選手として活躍した。ウン氏が当選した場合、IOC史上初めてアジア圏出身の会長が誕生することとなる。
IOCのトップにアジア圏出身の人間が立つ時が来たかというAFPの質問に対し、ウン氏はこう答えた。
「そう願っています。しかし象徴的な存在のためだけではなく、多様性や異なる価値体系、多文化、多種多様な意見を考慮しながら問題や課題に取り組むにあたり、アジア出身の会長がどのような考え方をIOCにもたらすことができるかということが大事だと思います」
ローザンヌでのプレゼンテーションではあまり目立たず、精彩を欠いたように見えたウン氏だが、その後の活動に精力的に取り組み、依然有力候補の一人だとみられている。
■デニス・オズワルド(Dennis Oswald、スイス)
かつてボート競技のスイス代表として五輪に出場し、1968年のメキシコ大会で銅メダルを獲得しているオズワルド氏は、1991年にIOC委員に就任。弁護士で、国際ボート連盟(International Federation of Rowing Associations)の会長でもある。既存競技を除外し、新競技を追加することに賛成を唱えている。
■呉経国(Wu Ching-kuo、ウー・チンクオ、台湾)
著名な建築家でもある呉氏。7年前に国際アマチュアボクシング協会(International Amateur Boxing Association、AIBA)会長に就任してからは同競技の政治的腐敗と戦い、五輪に女子ボクシングを導入した。
また、社会主義国であるキューバの常識を覆してプロスポーツを普及させるため、同国の選手をAIBAが発足したワールド・シリーズ・オブ・ボクシングに加入するよう説得した。
現在66歳の呉氏は中国生まれだが、1歳の時に台湾に両親とともに移住。博識でありながらチャーミングで、年齢を感じさせないはつらつとした人物。(c)AFP
ここでは、次期会長戦に候補者6人を紹介する。
■トーマス・バッハ(Thomas Bach、ドイツ)
長年にわたってロゲ会長の後継者の最右翼とされ、今選挙の最有力候補。
弁護士でもある59歳のバッハ氏は、若い頃から五輪に深くかかわっていた人物で、1976年モントリオール五輪のフェンシング・フルーレ団体では、選手として金メダルに輝いた。1991年にIOC委員に就任して以降は、3期にわたってIOC副会長を務めている。
1980年モスクワ五輪でボイコットが起こり、自身が西ドイツ(当時)選手団のスポークスパーソンを務めた際、政治家から選手を軽視するような態度を見せられたことをきっかけに、スポーツ界の政治に興味を持ち始める。
バッハ氏は出場選手の利益を最優先事項にしており、世界中のあらゆる国の都市が開催地になれるよう、五輪の規模と費用を肥大化させないようにコントロールすることが大事だと考えている。
最近では過去の旧西ドイツ選手団によるドーピング疑惑が明るみに出たことで、バッハ氏の経歴に影を落としたが、自らがドーピングに関する調査と取り調べを依頼したと主張し、ドーピングへの関与は否定している。
IOC会長に立候補するのは、おそらく今回が最初で最後のチャンスになる。
■セルゲイ・ブブカ(Sergey Bubka、ウクライナ)
陸上・棒高跳びの世界記録保持者であるブブカ氏は、世界陸上で合計6個のタイトルと、1988年ソウル五輪で金メダルを獲得しており、候補者の中でも飛び抜けた知名度を誇る。
しかし、IOC会長は知名度だけで務まるものではなく、49歳のブブカ氏に責任重大なポストを任せるにはまだ早いとみている人も多い。
南アフリカのネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の「スポーツは人の人生を変える力がある」という言葉を借りて、現代の若者に運動に興味を持たせ、スポーツをさせることが大事だと熱心に普及活動を行っている。
■リカルド・カリオン(Richard Carrion、プエルトリコ)
世界の経済不安が続く中、銀行員で慈善活動家でもあるカリオン氏の鋭いビジネス感覚は、IOCにとって心強いものとなる。
1990年にIOC委員に就任したカリオン氏は、プエルトリコのサン・フアン(San Juan)の2004年五輪招致活動にも携わったが、それは失敗に終わっている。
米国における五輪のテレビ放送権をめぐり、テレビ局NBCとの約44億ドル(約4400億)の独占契約を取り付けた張本人でもある。
過去に8年間、IOCの理事も務めた経歴もあり、当選した際にはこれまでの歴代会長とは違ったカラーを出すことが予想される。
カリスマ性に溢れ、いつも目を輝かせているカリオン氏の座右の銘は「最善の結果を望み、最悪の結果に備えろ」。今回の選挙活動では、以前は話せなかった問題についても「心の底から」言及できたとしており、五輪はその根本にある精神を見失ってはいけないと主張してやまない。
ロシアの反同性愛法については候補者6人の中で最初に声を上げた人物で、今後は社会の少数派に対して差別を掲げる都市には五輪開催を許さないと表明している。
スイス・ローザンヌ(Lausanne)でのプレゼンテーションには台本なしで臨み、全体的に好印象を与えたが、これまで長年にわたり一部のIOC委員とかかわりを持っていなかったカリオン氏が、突然票集めを行っていることに懐疑的な見方をするメンバーもいる。
■セルミャン・ウン(Ng Ser Miang、シンガポール)
外交官で、企業家としても成功している中国生まれのウン氏は、1998年にIOC委員に就任し、2009年からは副会長を務めている。IOC委員会のメンバーから人気があり、バッハ氏の対抗馬との見方も多い。
現在はシンガポールの在ノルウェー大使であり、かつてはロゲ会長と同様にヨットの選手として活躍した。ウン氏が当選した場合、IOC史上初めてアジア圏出身の会長が誕生することとなる。
IOCのトップにアジア圏出身の人間が立つ時が来たかというAFPの質問に対し、ウン氏はこう答えた。
「そう願っています。しかし象徴的な存在のためだけではなく、多様性や異なる価値体系、多文化、多種多様な意見を考慮しながら問題や課題に取り組むにあたり、アジア出身の会長がどのような考え方をIOCにもたらすことができるかということが大事だと思います」
ローザンヌでのプレゼンテーションではあまり目立たず、精彩を欠いたように見えたウン氏だが、その後の活動に精力的に取り組み、依然有力候補の一人だとみられている。
■デニス・オズワルド(Dennis Oswald、スイス)
かつてボート競技のスイス代表として五輪に出場し、1968年のメキシコ大会で銅メダルを獲得しているオズワルド氏は、1991年にIOC委員に就任。弁護士で、国際ボート連盟(International Federation of Rowing Associations)の会長でもある。既存競技を除外し、新競技を追加することに賛成を唱えている。
■呉経国(Wu Ching-kuo、ウー・チンクオ、台湾)
著名な建築家でもある呉氏。7年前に国際アマチュアボクシング協会(International Amateur Boxing Association、AIBA)会長に就任してからは同競技の政治的腐敗と戦い、五輪に女子ボクシングを導入した。
また、社会主義国であるキューバの常識を覆してプロスポーツを普及させるため、同国の選手をAIBAが発足したワールド・シリーズ・オブ・ボクシングに加入するよう説得した。
現在66歳の呉氏は中国生まれだが、1歳の時に台湾に両親とともに移住。博識でありながらチャーミングで、年齢を感じさせないはつらつとした人物。(c)AFP