ケプラー宇宙望遠鏡は修理不能、NASA発表
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【8月16日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は15日、惑星探査のために2009年に打ち上げられたケプラー(Kepler)宇宙望遠鏡の一部装置に見つかった故障について、修理は不可能だと判断したと発表した。今後、半分の稼働能力で実行可能な科学的調査があるかどうかを検討するという。
ケプラーは、太陽に似た恒星の「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」内の軌道を周回している岩石惑星、つまり、天の川銀河(Milky Way)内のどこかで生命を育んでいる可能性のある地球型惑星の探査を行ってきた。
ケプラー計画主任研究者、ウィリアム・ボルッキ(William Borucki)氏によると、ケプラーの最初の2年分のデータから、これまでに3500個の惑星候補が発見され、その中には地球サイズの候補が数百個含まれている。これまでに135個の太陽系外惑星の存在が確認された。このうち数個は地球に大きさが近いと推定されるが、太陽より温度が低い中心星の周りを回っている。
ケプラーの最後の2年分のデータはすでに収集されているが、まだ解析されておらず、これから「数百個、あるいは数千個の新たな惑星が発見されることを期待している」とボルッキ氏は話す。「ケプラーの観測が完了した今、観測データは、今回のミッションを構想するきっかけとなった次の疑問に対する答えを握っている。太陽に似た星のハビタブルゾーン内にある地球型惑星は、ありふれた存在なのか、または希少な存在なのだろうか」
NASAは昨年7月、ケプラー望遠鏡の向きを調節するために4個装備されている「リアクションホイール」という部品のうちの1つが故障したと発表した。また今年5月にも、同じ部品の2個目が故障した。ホイールを逆向きに動かす修復方法が試されたが、またすぐに動かなくなり、モーターでホイールを作動させ続けることができなくなった。
今後数か月以内には、故障したケプラーを使って実行できる可能性のある科学的研究についての2回の調査が行われる。彗星や小惑星の探査も可能性の一つに挙げられている。
これらの調査が完了した後、NASAは費用対効果分析を行い、ケプラーを使った研究を継続するべきかどうかや、費用を他のプロジェクトに回したほうがいいかどうかを判断する。
NASAは2013会計年度で、ケプラー計画に1800万ドル(約17億5000万円)の予算を割り当てている。ミッション全体には、これまでに約6億ドル(約580億円)の費用が投入されている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN