【8月5日 AFP】南アジアの主要2河川に水を供給している氷河の規模は21世紀中に大幅に減少するものの、当面、水の需要は満たされるだろうとの研究が、4日の英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された。

 ヒマラヤ山脈の氷河は、人口の急増と食糧需要の増加に直面している南アジア地域への水供給源となっており、これら氷河の状態は厳しく監視されている。

 地球温暖化でヒマラヤ山脈の氷河が減少することに関して科学者たちの意見は一致している。だが、失われる氷の量やその速度、さらに利用可能な水量への影響については、まだほとんど合意がない。

 温暖化の影響を明らかにするため、ユトレヒト大学(Utrecht University)のWalter Immerzeel氏率いるオランダの研究チームは、インダス(Indus)川に水を供給するバルトロ(Baltoro)氷河と、ガンジス(Ganges)川に水を供給するランタン(Langtang)氷河に地球温暖化によって起きる変化をコンピューターシミュレーションで調べた。シミュレーションには、気温の変化が小幅なモデルと大幅なモデルが用いられた。

 シミュレーションの結果、2つの氷河は大幅に減少した──気温が大幅に上昇する温暖化モデルでは、2つの氷河の規模は今世紀末までにおよそ半減した。だが、氷河融解による水量の増加で、今世紀中は水不足に陥ることはなかった。「いずれのモデルでも氷河は減少したが、少なくとも2050年までは氷河融解による水の総量は増え続ける」

「降雨量の肯定的な変化と合わせ、21世紀中の利用可能な水量が減少する可能性は低い。モンスーンの雨と氷河の融解に依存しているこれらの河川は、この地域で今後も増加が予想されている水の需要に応え続ける」と、研究チームは結論づけた。(c)AFP