【6月20日 AFP】大リーグ(MLB)のボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)などにかつて所属し、活躍の場を台湾プロ野球の義大ライノズ(EDA Rhinos)に移していたマニー・ラミレス(Manny Ramirez)が、入団からわずか3か月ほどで同球団を去ることが19日に明らかとなった。

 2011年に禁止薬物使用で処分に面したことをきっかけにMLBを引退したラミレスは、今年3月に台湾プロ野球リーグ史上最高額の契約でライノズに入団し、低迷していた台湾プロ野球の観客数増加に貢献した他、リーグ2位の本塁打数をマークする活躍を見せていた。

 しかしライノズとラミレスが交わした契約には、3か月で退団を許可する条項が含まれていた。

「我々はラミレスの気持ちを変えさせようと、できる限りのことをしました。しかし本日(19日)、ラミレスはライノズに退団の表明を出しました」とライノズは声明を発表している。

 球団の話すところによると、ライノズはラミレスを引き留めるため、4月以降、月々の報酬を当初の契約の2倍の5万ドル(約480万円)に上げた他、1部屋1泊5万台湾ドル(約16万円)のホテルのスイート2部屋を住居用に提供をオファーした。

 しかし声明によると、ラミレスはこんなに家から離れたところでプレーするのは初めてで、家族が恋しいとチームメイトにこぼしていたという。

 ライノズはラミレスの決断を尊重し、これまでのチームとリーグへの貢献に感謝するとコメントした。

 現在41歳のラミレスは3月にライノズに入団し、台湾リーグでプレーする元MLB選手としてはこれまでで一番ネームバリューの高い助っ人となった。

 その後、ラミレスはチームの成績や試合への観客動員数に「嵐を巻き起こした」と球団は言う。

 ライノズでラミレスは打率3割5分2厘をマークし、同チームの林益全(Lin Yi-Chuan、リン・イーチャン)の12本に次ぐ、現時点でリーグ2位の8本塁打を放った。

 また、4チームからなる台湾プロ野球リーグの観客動員数も、今シーズン最初の2か月には1試合平均7600人と上昇し、台湾プロ野球の人気絶頂期だった、リーグ発足3年目の1992年シーズンの平均6900人よりも上回った。

 一方、MLBでは打率3割1分2厘、通算555本塁打という成績を残し、オースターゲームには12度の選出を果たした。2004年のワールドシリーズではレッドソックスを1918年以来の優勝に導き、最優秀選手(MVP)にも輝いている。

 2009年には運動能力向上薬の使用で50試合の出場停止処分に科されたが、2011年にも再び薬物使用が発覚し、長期の出場停止処分を言い渡されたことを受け、ラミレスはMLBでの現役を引退した。(c)AFP