おりの中に11年、家族の苦渋の決断 中国
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【5月28日 AFP】中国のニュースサイトで、10年以上おりに閉じ込められたままの男性の写真が掲載され、波紋が広がっている。江西(Jiangxi)省の村、上ファン(Shangfan)のこの男性(42)には精神疾患があるとして、約11年前に家族がおりに入れたという。
男性の存在については、地元紙「信息日報(Information Daily)」が、おりの中で足を鎖につながれて座る、Tシャツと下着を身に着けただけの男性の写真をウェブサイトに掲載し、明らかになった。
詳しい状況は不明だが、報道によると、15歳の時に統合失調症と診断されたこの男性は、2001年に13歳の子どもを殴って死なせているが、精神疾患があることから責任能力はないとして1年後に釈放され、自宅に戻った。帰宅後は鎖につながれるようになったが、時折り家を抜け出して近隣住民を怖がらせたことから、母親が作ったおりに入れられるようになったという。毎日3回、母親が食事を差し入れ、トイレ代わりの容器を用意しているという。
母親は信息日報の取材に、「息子は正気でないかもしれない。他人を殴り殺してしまうかもしれない。それでも私の息子であることに変わりはない。自らの手で息子をおりに入れることは、ナイフで胸を刺されるようにつらい」と語っている。
中国では、(施設などの)リソースや専門職員の欠如から、精神疾患のある多くの人たちが適切な治療を受けられずにいる。こうした傾向は特に地方で顕著だ。
地元当局職員は信息日報の取材に、男性の家庭に油や米を配給するなどの支援をしていると語った。また江西省当局でも、精神疾患のある家族を持つ貧困家庭に補助金を支給するなどの支援策を開始したという。
一方、地元警察はAFPの取材に、男性がおりに入れられている件については知らないと語った。(c)AFP