【5月23日 AFP】2008年に恋人をナイフでメッタ刺しにし、銃を撃って殺害したとして謀殺の罪で有罪を言い渡されたジョディ・アリアス(Jodi Arias)被告(32)が21日、米裁判所で陪審員らを前に、極刑を回避するよう懇願した。

 アリアス被告はこれまで、終身刑を言い渡されるくらいなら死刑を望むと主張していた。だがこの日、アリアス被告は刑務所内で自分が行うことのできる善行を並べ、恋人の殺害を「人生で最悪の過ち」だったと語った。「私は終身刑よりも死刑を望むと公言してきた。終身刑は、私が想像できる限り最も魅力の無い結末だった。それならばむしろ死んだほうがいいと考えた」(ジョディ・アリアス被告)

「でも今ここで私は、良心に照らして恥じることなく、死刑判決を要望することができない。死刑を望むことは自殺と同じくらい罪深いことだ」と、アリアス被告は米アリゾナ(Arizona)州フェニックス(Phoenix)の裁判所で、陪審員らに語った。

 2008年6月に恋人のトラビス・アレクザンダー(Travis Alexander)さんを27回刺し、頭部に銃を撃ち、のどを切り裂いて殺害した罪に問われたアリアス被告の裁判は、今年1月から開かれていた。裁判でアリアス被告は自己防衛の行動だったと主張したが、陪審団は2週間前、予謀殺の罪で有罪を言い渡し、さらに先週、被害者に対して「特に残虐」だったため死刑を言い渡す可能性もあると判断していた。

 21日、アリアス被告は陪審員らに刑務所内で行うことのできる善行を列挙。化学療法を受けているがん患者のために髪の毛を寄付することや、リサイクル運動の奨励、ブッククラブの創設などができると述べた。またアリアス被告は、自らの半生を振り返り、幼いころの写真や、アレクザンダーさんに出会う前にカリフォルニア(California)州で過去のボーイフレンドたちと一緒に撮影した写真などを陪審員らに見せた。

「私はトラビスを愛していたし、尊敬していた。一時は、トラビスが私にとって世界だった。これは私の人生で最悪の過ち。私が行った最悪の行為だ」と涙をこらえながら訴えた。 「あの日までは、私はクモを傷つけることさえ望まなかった。あの日以降、私はあのような暴力を自分が出来たことを信じられないでいる。けれど、それが可能だったことを私は知っているし、それ故に私はこれからの人生ずっと、あるいはそれよりも長く、申し訳なく思い続けるだろう」 「私は、自分がしてしまったことに恐怖し、そして今も恐れおののいている」  

 終身刑であれ死刑であれ、いずれにせよアリアス被告は一生を刑務所で過ごす考えだという。ただ、自分に残された時間が「縮まると、もっとも傷つくのは私の家族だ。懇願します。お願いですから、そのようなことを彼らにしないでほしい」 と述べた。(c)AFP