【2月27日 AFP】脱原発を掲げ再生可能エネルギーの開発を進めているドイツの2012年の温室効果ガス排出量は、石炭とガスの使用量増加を受け、前年比1.6%増となった。ドイツ連邦環境庁(UBA)が25日、発表した。

 ドイツが2012年に排出した二酸化炭素(CO2)量は、前年比1400万トン増の9億3100万トンだった。連邦環境庁は、天候の影響で発電用の石炭と家庭暖房用のガスの使用量が増加したことを原因に挙げつつ、再生可能エネルギー開発の進展によって排出量を微増にとどめることができたと説明している。

 2011年の東京電力(TEPCO)福島第1原発事故発生後、ドイツ政府は大々的な「エネルギー革命」に着手。22年末までに国内の全原発を停止し、太陽・風力などの再生可能エネルギー源を増強する方針を決定した。

 だが、北海(North Sea)沿岸から電力が不足しがちなドイツ南部への送電網の整備は難航しており、ドイツ国内では政府の脱原発政策が電気料金の急騰を招くとの懸念が高まっている。

 ヨッヘン・フラスバルト(Jochen Flasbarth)連邦環境庁長官は、脱原発が温室効果ガス排出量を増大させるとの懸念は「再生可能エネルギーの開発によって相殺されたため」現実のものとはなっていないと指摘。一方で「発電用の石炭使用量が増えている傾向を憂慮している」とも述べた。

 ドイツ政府は、2012年の排出量は微増したものの1990年比では25.5%の削減に成功しているとして、京都議定書(Kyoto Protocol)で定められた目標は既に達成済みとの認識を示している。(c)AFP