【2月22日 AFP】米タイヤ製造大手タイタン・インターナショナル(Titan International)の最高経営責任者(CEO)が、経営難に陥ったフランスの工場を買収してほしいとの仏政府からの要請に対し、フランスの労働者は「1日に3時間しか働かない」ため、工場の買収は「ばかげている」と返答していたことが分かった。

 仏経済紙レゼコー(Les Echos)によると、タイタンのモーリス・テイラー(Maurice Taylor)CEOはアルノー・モントブール(Arnaud Montebourg)仏生産回復相に宛てた2月8日付けの手紙で、フランス北部アミアン(Amiens)にある米グッドイヤー(Goodyear)社の工場への投資を検討してほしいとの要請に対し、次のように返答した。

■「休憩1時間、おしゃべり3時間、仕事3時間」

「あの工場は2回ほど視察しました。フランスの労働者は高い賃金を受け取っているが、3時間しか働きません。休憩と昼休みに1時間、おしゃべりに3時間、仕事に3時間費やす。フランスの労働組合員に面と向かってこれを指摘したら、それがフランスの働き方だと言われました」

 グッドイヤーは先月、労働組合との5年にわたる交渉が決裂したため、1173人が働くこの工場を閉鎖すると発表していた。

 テイラーCEOは、これまでタイタンは経営難に陥った多くの工場を買収してきたが、今回の買収案には全く興味がないと断言した。

「弊社に(買収の)議論を始めてほしいとのことですが、それがどれほどばかげたことだとお思いでしょうか?タイタンにはタイヤを製造する資金と能力がある。頭のおかしな労働組合にはなにがありますか?フランス政府です」

 テイラーCEOはまた、フランスの産業はその低い生産性に加え、中国などからの安価な輸入品という脅威にさらされていると指摘。「タイタンは中国やインドのタイヤ会社を買収し、時給1ユーロ以下の賃金を支払って、フランスが必要な全タイヤを供給しよう。おたくの『労働者』とやらはいらない」

 社会党率いる仏政府は、激しさを増す国際競争に直面する仏産業の生産性改善に懸命に取り組んでいる。国内経済が停滞する中、仏企業はここ数か月で数千人の雇用削減を発表している。(c)AFP