【2月12日 AFP】(一部更新、写真追加)ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、85)が11日、高齢を理由に2月28日に退位することを表明した。

 法王は11日、バチカン(Vatican)で開かれた枢機卿会議の最後に、「高齢のためにもはや(キリストの使徒)ペテロの後継者としての責務を十分に果たすだけの体力がなくなったことを確信した」とラテン語で書かれた文章を読み上げた。その声はようやく聞こえる程度だったという。「この数か月で、法王としての職務をまっとうするために必要な精神力と体力が著しく衰え、私に委託された任務を適切に実施するのが不可能になったと認めなければならなくなった」

 ローマ法王庁の報道官によれば、法王退位後、15日から20日以内に枢機卿による法王選出選挙(コンクラーベ)が行われ、復活祭の日曜日である3月31日までに新法王が就任する見込みだ。

 1415年にグレゴリウス12世(Gregory XII)が強制的に辞任させられているが、カトリック教会2000年の歴史の中で、生前のローマ法王が正式に退位するのは1294年のケレスティヌス5世(Celestine V)に続き2人目。

 ドイツ生まれのベネディクト16世は、法王就任前はヨゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)枢機卿として長年、カトリック教義の強化に尽力。「神のロットワイラー犬(ドイツの大型犬)」の異名をとっていた。

 法王に就任した2005年は、アメリカなどで神父による子供への性的虐待事件が相次いで明るみになり、法王庁が揺れていた時期だった。

 法王就任後は家族の価値観を強調し、人工妊娠中絶や安楽死、同性婚に激しく反対するなど、保守的な姿勢を貫いてきた。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE